上写真=今季はまだ出場機会のない乾だが開幕からベンチ入り。神戸デビューが待たれる(写真◎J.LEAGUE)
大迫、武藤ら仲間も乾加入効果を期待
ヴィッセル神戸の今シーズンの始動日だった1月9日。初めて練習着に袖を通した乾貴士はどことなく、楽しそうだった。練習中も再三、彼の声がグラウンドに響き渡る。本人は「単にはしゃいでいただけですよ」と笑ったが、その後には乾らしい言葉が続いた。
「今日に限らず、サッカーをしているといつも自然とあんな感じになっちゃいます。初めましての選手もいましたけど、懐かしい選手というか、久しぶりに一緒にサッカーをする選手もたくさんいて、彼らと一緒にボールを蹴るのもすごく楽しかったです。みんなレベルが高いですしね。その中に入って一緒にボールを蹴ってみて、よりこの先が楽しみになりました」
2018年のワールドカップ・ロシア大会をともに戦った大迫勇也、酒井高徳、武藤嘉紀をはじめ、権田修一や扇原貴宏ら、かつては日本代表として、あるいはチームメイトとして戦った仲間が顔をそろえるからでもあるだろう。初日ながらあっという間にその輪に溶け込んでいた。チーム最年長となる37歳の新加入選手にチームメイトも歓迎ムードを漂わせた。
「改めて僕が説明するまでもないと思いますが、みんなが大リスペクトしている選手。初日から(みんなとの)距離もなくすんなり溶け込んでいましたよ」(武藤)
「乾さんは昨シーズンも『技術は錆びないんだな』というプレーをたくさん見せていたし、僕よりもう一つ低い位置で起点を作れる選手。それによって僕も今シーズンはもっと前でパワーを使えるようになるんじゃないかと思っています」(大迫)
昨年の12月27日に神戸への完全移籍が発表された。同月2日に前所属の清水エスパルスから2025年シーズン限りでの契約満了が発表されてから約3週間。オファーを受けた際の心境を尋ねると「本当に、まさかでした」と振り返った。
「まさかこんなビッグクラブからオファーをいただけるとは思っていなかったのですごくうれしかった」
J2以下のカテゴリーで戦うクラブからはいくつかのオファーが届いていたらしいが、彼自身、J1リーグでプレーすることにこだわりがあったからだろう。代理人を通して「ヴィッセルが興味を示してくれている」という話を聞いてからはずっと、それが現実になることを願っていたという。
「(前所属の)エスパルスのことも22年7月から4シーズンにわたって在籍させてもらい、すごく大好きなチームになったからこそ、離れなくちゃいけないことへの寂しさもありました。僕にとってはキャリアで初めての『契約満了』だったのもあって、サッカー選手でいられなくなるかもしれないというような怖さも感じていました。その中で、いくつかのJ2クラブには声を掛けていただいていたんですけど、自分自身はずっとJ1リーグでプレーすることを目指して頑張っていた中で、25年は3シーズンぶりにJ1リーグを戦えたシーズンだったので。そこから仮にまたJ2リーグに戻ることになったとして、果たして自分のモチベーションが持つのかな、ということも想像しましたしね。
実際、僕に興味を示してくれたJ1クラブはヴィッセルだけだったから、ヴィッセルから正式にオファーがもらえなかったら自分はどんな気持ちになるんかな、ってことは繰り返し考えました」
