上写真=先発フル出場を果たしたFC東京の稲村隼翔(写真◎J.LEAGUE)
聞き馴染みのあるチャントばっかりだった
FC東京の選手として、ついに味の素スタジアムのピッチに立った。
このオフ、セルティック(スコットランド)から期限付き移籍で加入した稲村は、前橋育英高から東洋大を経て、アルビレックス新潟に加入した。だが、そのルーツには、中学時代にプレーしたFC東京Uー15深川がある。だから、FC東京のホーム、味の素スタジアムには特別な思いがある。
「聞き馴染みのあるチャントばっかりだったんで、初めてっていう感覚よりかは、懐かしいなっていう風に感じました」
FC東京加入は、稲村にとって大きな決断だった。新潟で評価を高めて海を渡ったものの、セルティックでは監督交代なども重なって出番に恵まれなかった。そのまま出場機会を求めて奮闘するか、日本復帰か。サッカー選手としての成長を第一に考えた稲村は後者を選択した。
「いや、もう半年ぶりだったんで。何回か地に足ついてないような感覚になってしまった時間帯もあったんですけど、徐々に慣れてきて、それも含めてまだまだコンディションを上げれるというところと、率直に楽しめたかなっていう風に思います」
キャンプの時点で稲村は試合勘を取り戻すことをテーマの一つに掲げていた。この日のプレーを見る限り、開幕にしっかり合わせてきたように映る。近い場所ではなく、1列飛ばして深く差すパスや狭いスペースを通すボールの質は相変わらず高かった。ただ本人からすれば、まだまだ満足できるレベルには達していないという。
「(自身のプレーの評価は?)いや、全然良くないです。悔しい思いしかないです。もっと安定感が必要だと思うし、今日試合に出ていたセンターバックの選手たちはもっとレベルが高いなっていうのは率直に感じたので。守備も攻撃も全部レベルアップする必要があるなと」
センターバックコンビを組んだデンマーク代表に招集歴のあるアレクサンダー・ショルツ、日本代表歴のある鹿島の植田直通、同じく韓国代表のキム・テヒョン。この試合に出場したのは、リーグ屈指のセンターバックと言えるだろう。稲村はプレーしていて、その差を痛感していた。
「(パスの)精度はまだまだ以前に比べたら低いと思いますし、それ以上にやっぱり守備のところは、もっと稲村がいれば守れるって思ってもらえるようになりたい」
キャンプ中の取材では「ここからまた自分自身が高く飛ぶために、このチームのためで頑張りたい」とも語っていた。攻撃の一歩目を担うとともに、頼れる守備の要としてFC東京の最終ラインに君臨する存在になれるか。そうなれば、今回の決断が間違いではなかったとの証明にもなる。
稲村隼翔は再び日本で、そして『少年時代」にまとった青赤のユニフォームを着て、リスタートを切った。本人には、2026年が自身のキャリアにとって極めて重要な1年になるとの自覚がある。
