上写真＝荒木遼太郎が瞬時に送ったパスが決勝点へとつながった（写真◎小山真司）
■2025年11月30日 J1第37節（観衆：38,168人@味スタ）
東京V 0-1 鹿島
得点：（鹿）松村優太
1年間やってきたことをすべてぶつけます
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、荒木遼太郎は2度、吠えた。
苦しい試合を1-0で乗り切った。74分に松村優太が決めた決勝ゴールは、荒木のパスがスタートだった。相手のバックパスが足元にやってきて、ターンしてから前線のレオ・セアラへ。シュートはGKマテウスに阻まれたが、こぼれ球を松村が左足で押し込んだ。
「びっくりしちゃって。え、ってなって、相手もいなかったのでちょっと戸惑いましたけど、前を向いてレオが見えたので、パスを出しました」
荒木のパスは角度もスピードも完璧で、右に出たレオ・セアラと左側にいたDFの間に滑り込ませるようにしてレオ・セアラの足元に送り届けた。
「レオの動き出しが良かったので、こっちとしてはパスを出しやすかったです」と背番号9を称えたが、一瞬の驚きから瞬時にして、冷静でていねいに出したパスは素晴らしかった。
72分に荒木をピッチに送り込んだ鬼木達監督の狙いは、まさにそこにあった。
「前半から間で受けられる感じはありました。ただ、そこからまた下げて前進しなかったりということがあって、彼が入るタイミングで、レオはボールに触りたいから下りてきていましたけど、できるだけそこは2人（荒木と松村優太）に任せて先頭にいるようにレオに話しました」
レオ・セアラが最前線で待ち構え、荒木がパスを届け、松村がこぼれ球に反応するという鬼木監督の「型」がまんまとはまった。
荒木自身はFC東京でのプレーを経て鹿島に戻った今季、望む出番をもらったとは言い難い。この試合までに17試合、706分のプレーに留まっていた。しかし日々、集中していた。
「出ない時期も、いつ出てもいいプレーができるような準備はしているので、それが今日の試合でチャンスを作れたことはできたのかなと思っています」
12月6日、横浜F・マリノスと戦うホームでの最終節に勝てば優勝だ。
「自分たちがやるべきことははっきりしているので、もう勝つだけなんで、そこは変わらず、1年間やってきたことをすべて試合にぶつけます。ホームだし、絶対にサポーターの方々もいい雰囲気を作ってくれると思うので、自分たちは思いっきりプレーするだけかな」
プロになって6年目。いいときばかりではなかったが、ついに目の前にトロフィーが見えるところまでたどり着いた。
「緊張はしないですね。緊張感ある試合のほうが自分は楽しくやれるので。6年目にしてやっとこういうチャンスが来たので、必ず手にしたい」
