上写真=広島のホームで行なわれた初のダービーマッチ。岡山が広島を下して第一歩を刻んだ(写真◎石倉利英)
■2025年4月12日 J1リーグ第10節(@Eピース:観衆26,135人)
広島 0-1 岡山
得点:(岡)佐藤龍之介
「また頑張るためのモチベーションになる」
2018年のJリーグ育成マッチデーで2試合の対戦はあるものの、それ以外の公式戦では初めての激突となった隣県対決。広島が3分、CKからDF荒木が惜しいヘッドを放つなど立ち上がりから押し込むかに見えたが、岡山もその後は決定機を作らせず、FWルカオをターゲットにして敵陣に進む回数を増やしていった。
そうするうちに29分、広島にアクシデントが起こる。カウンターからドリブルでボールを運んでいたFWジェルマンが、左足の太もも裏を抑えて倒れ込む。そのままプレー続行不可能となってFW中村と交代し、前半のうちに交代枠を1つ使うこととなった。
それでも広島は44分、左サイドを突破した中村が鋭いセンタリング。ゴール前中央でフリーとなっていたFW前田が左足で合わせようとしたが、空振りとなってシュートを打てず、そのままスコアレスで前半を終えた。
広島はハーフタイムに2人を交代で送り込み、攻撃のギアを上げようとするが、第9節終了時点でJ1最少の5失点という岡山の堅守は崩れない。広島のサイドからのクロスをことごとくはね返し、ルカオをターゲットとする攻めで得点をうかがった。
それが実ったのが58分。岡山は右サイドからDF阿部がロングボールを送ると、広島の荒木とMF東の間を割って走り込んだルカオがドリブルでエリア内へ。懸命に戻った東がボールに触ったものの、後方から追ってきたMF佐藤がこぼれ球を蹴り込み、記念すべき中国ダービー初得点で均衡を破った。
広島も69分、中村の左からのセンタリングをFWジャーメインが左足で合わせたが、岡山GKブローダーセンが好セーブで防ぐ。ブローダーセンはその後もハイボール処理などで安定したプレーを続け、最後の砦として広島の攻撃に立ちはだかった。
結局、7分と表示された後半アディショナルタイムも1点を守り抜いた岡山が、これまで3戦全敗だったアウェーで初勝利。初のダービーマッチを制した木山隆之監督は「広島とアウェーでいかに戦っていくかを練り込んできて、選手たちがプレーで体現してくれたこともそうだし、それ以上のファイティングスピリット、勝利への執念を持ってやってくれた。それが一番大きい」と称え、「また頑張るためのモチベーションになる、大きな試合になった」と喜んでいた。
取材・写真◎石倉利英
▼出場メンバー
・広島:GK大迫敬介、DF中野就斗、荒木隼人、佐々木翔、MF越道草太(HT:塩谷司)、川辺駿、田中聡(82分:小原基樹)、菅大輝(HT:東俊希)、FW前田直輝(67分:加藤陸次樹)、ジャーメイン良、ヴァレール・ジェルマン(29分:中村草太)
・岡山:GKスベンド・ブローダーセン、DF阿部海大、田上大地(76分:柳育崇)、工藤孝太、MF松本昌也(56分:佐藤龍之介)、藤田息吹、田部井涼(85分:竹内涼)、加藤聖、FW木村太哉、ルカオ(76分:一美和成)、江坂任(76分:神谷優太)