味の素スタジアムをホームとする東京ヴェルディとFC東京が明治安田J1リーグ第8節で対戦した。東京Vが2度リードを奪ったものの、結果は2−2のドロー。山見大登は悔しさを口にする一方で「やり続けるしかない」と前を向いた。

上写真=CKで先制ゴールを導いた東京Vの山見大登(写真◎J.LEAGUE)

スカウティングでニアは小さいと

 前節の柏戦では高い位置からプレスを実施した東京Vだったが、この試合の序盤はミドルエリアにFC東京の選手が入ってきたら圧力をかけていった。

「出来る限り前から行きたい思いはありましたし、前から行こうっていうのを話してましたけど、僕の左隣に高選手であったりとか、ボランチの選手が落ちたりしていたので、前から行きづらいというはありました。そこでちょっとブロックを引いていましたけど、基本的には前から行けるようにどういう風にやるかが重要になってくると思う」

 山見の説明によれば、前半は自重気味というよりもFC東京のボランチがサイドのスペースに出てボールを引き出す動きをして、最終ラインからのビルドアップの出口を作っていた。下手に食いついてプレスを空転させるよりも、ミドルに構えて捕まえる策が有効だと考えていたわけだ。

 実際、それが奏功し、東京Vの前半のスタートから狙い通りに試合を進めていた。20分には左CKの場面で山見がキッカーを務め、林尚輝の先制ヘッドを引き出した。

「スカウティングで相手のニアが小さいというのはあったので、そこに人数をかけて。狙い通りだったかなと思います」

 翁長聖が佐藤恵允をブロックし、染野唯月と林がスペースへ動く。そこへ山見によるインスイングのボールが届き、最後は林がヘディングシュートを決めた。まさに狙い通りだった。

 しかし、である。その後に山見も懸念していた失点を招いた。

 自陣センターサークル右横で高宇洋にフリーでボールを持たれると、最終ラインの背後にボールを送られた。谷口栄斗がオフサイドを取るべく前に重心をかけようとしたかに見えたが、ラインはそろっておらず、佐藤に背後を取られて飛び出しを許した。相手の点と点を一本のパスでつなぐようなプレーは見事だったが、蹶り手へのプレッシャーがかけられず、にもかかわらずDFが前に重心をかけて反応が遅れてしまったことが悔やまれた。

「前からいけないのであれば、失点シーンのような背後の取られ方はいけないと思いますし、できる限り前から行けるためにどうやっていくかっていうのは改善が必要かなと思います」

 ハイプレスは東京Vの生命線だ。ただ、激しい消耗を伴うプレーでもあり、かけどころの見極めが重要になる。今回は連戦中でもあり、幾分、セーブしたところもあったが、FC東京のスキを突くプレーにしてやられてしまった。

 その後、相手GKのミスを誘うハイプレスから染野がゴールを決めて再び先行したが、試合終了間際に左サイドから崩された。左サイドで与えたFKは一度は跳ね返すことに成功したが、再度、安斎颯馬にクロスを入れられると、攻め残っていたエンリケ・トレヴィザンにヘディングを許し、失点。土壇場で追いつかれてしまった。

 72分に福田湧矢と交代し、ベンチから戦況を見つめていた山見は「やっぱり後ろに行くんじゃなくて、もうちょっと前に行ければよかったかなという風には思いますし、前半のうちにもう1点、2点取っていれば。そういうチャンスは絶対にあったと思うので、そこはやり続けるしかない」と悔しさをにじませた。

 試合全体を見渡せば、東京Vの勝ちゲームと言えた。ボールを握られたものの、それも織り込み済みで、2度リードを奪っている。しかし、つかみかけた勝ち点3は最後の最後にその手から滑り落ちた。次戦以降、しっかり勝ち点をつかみ切るために、ブレてはいけないと山見は強調した。

 この引き分けで東京Vは2勝3分け3敗。順位は15位に後退したが、まだ8節を終了したばかり。1勝すれば一気に順位を上げることができる。山見の言う通り、チームとしてブレずに試合終了の笛がなるまで、最適なプレーをやり切れるかどうかが上昇のカギになりそうだ。


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