上写真=東京ダービーは2−2で決着。勝ち点1を分け合った(写真◎J.LEAGUE)
■2025年4月2日 J1第8節(観衆26,865人/@味スタ)
東京V 2−2 FC東京
得点:(V)林尚輝、染野唯月
(F)佐藤恵允、エンリケ・トレヴィザン
常に先行した東京V、追いついたFC東京
前節、川崎Fとの多摩川クラシコに0−3で敗れたFC東京は先発を3人変更してこの試合に臨んだ。3バックの両脇を務めたDF土肥幹太、岡哲平をそれぞれ木本、H・トレヴィザンに代え、前線も1トップを仲川輝人から佐藤恵允(前節はシャドー)、シャドーにエヴェルトン・ガウディーノを起用した。
対照的に東京Vは前節、スコアレスで引き分けた柏戦と同じメンバーで試合をスタートさせた。東京Vが勝ち点1を得たその試合はハイプレスでペースを握り、好調な相手を苦しめた。だが、この試合では別の顔を見せる。高い位置からボールを奪いにいくことはなく、ある程度、相手にボールを持たせた上で機を見てカウンターを仕掛けていった。
結果、東京Vは前半20分時点で29%対71%とボール保持率で大きく下回ることになったが、先制ゴールをものにする。20分の左CKの場面。山見が右足でニアにボールを送ると、翁長が佐藤をブロックし、空いたスペースに染野と林がフリーで待っていた。林がヘッドでとらえるとシュートがネットに突き刺さった。
先制後、東京Vは受けに回ることなく、やや重心を前へ傾けた。だが、FC東京のボランチ、高と1トップを務めた佐藤が広がった相手最終ラインの裏のスペースを狙っていた。43分、ハーフウェーラインを越えたやや左の位置でボールを持った高が顔を上げた瞬間、CB谷口の背後を取った佐藤が裏に飛び出す。届いたボールを走りながら体で押さえつけるようにコントロールして左足シュート。素早いシュート動作で相手GKマテウスも反応できず。それまでなかなかチャンスを作れなかったFC東京が前半のうちに同点に追いついた。
1−1で折り返した後半、さらに圧力が強まったプレスをかいくぐり、FC東京が前進すれば、東京Vもボール奪取から一気のカウンターで敵ゴールに迫っていった。
52分、そんな一進一退の攻防が繰り広げられる中、ミスが出てネットが揺れる。東京VのCB綱島が自陣でボール奪取に成功すると、木村の動き出しに合わせてスルーパスを供給。これはH・トレヴィザンに触られるが、こぼれ球を拾ったGK野澤に対して反応していた染野が足を止めずにプレスをかけた。すると野澤がボックス内で切り返してかわそうとしたが、染野は右足を伸ばしてボールを突き、そのままゴールイン。東京Vが勝ち越しゴールを手にした。
追いかける展開になったFC東京は60分にE・ガウディーノに代えてヒアンを投入、71分には橋本→東、佐藤→仲川、俵積田→北原の3枚替えを実施して攻勢をかけた。
だが、東京Vも最後のところは体を張って防ぎ、鋭いカウンターからFC東京ゴールを脅かし続けた。試合はそのまま決着するかと思われた89分。FC東京が意地を見せる。
右サイドでボールを持った安斎がクロスを供給。大外で待っていたH・トレヴィザンが打点の高いヘッドでボールをとらえると、シュートは逆サイドのネットに突き刺さり、土壇場で同点に追いついた。
試合はそのまま2−2で決着。前半から狙い通りにゲームを進めたのは東京Vだったが、FC東京が地力を示した格好。この結果、ダービーの通算成績は6勝7分け6敗。互いに譲らず、意地を示すダービーとなった。
▼出場メンバー
・東京V◎GKマテウス、DF綱島悠斗、谷口栄斗、林尚輝、MF翁長聖、平川怜、齋藤功佑(83分:稲見哲行)新井悠太、FW染野唯月(59分:松橋優安)、山見大登(72分:福田湧矢) 、木村勇大(83分:白井亮丞)
・FC東京◎GK野澤大志ブランドン、DF木本恭生、木村誠二、エンリケ・トレヴィザン、MF 白井康介(90分:野澤零温)、高宇洋、橋本拳人(71分:橋本拳人)、安斎颯馬、俵積田晃太(71分:北原槙)、FWエヴェルトン・ガウディーノ(60分:マルセロ・ヒアン)、佐藤恵允(71分:仲川輝人)