3月1日の明治安田J1リーグ第4節で、京都サンガはアウェーで川崎フロンターレと対戦し、うれしい今季初勝利を手に入れた。1-0のスコアで、決勝点を決めたのは奥川雅也だ。10年ぶりに京都に戻ってきて決めたJ1初ゴールで自信を深めた。

上写真=奥川雅也が京都にもたらした今季初勝利をサポーターと喜んだ(写真◎J.LEAGUE)

■2025年3月1日 J1第4節(観衆22,404人/@U等々力)
川崎F 0-1 京都
得点:(京)奥川雅也

「いかに簡単に」

 10年間の血肉が、あの一瞬に凝縮した。49分、奥川雅也が先制ゴール!

 右サイドで川崎フロンターレの橘田健人がバックパス、これが弱くなって、ラファエル・エリアスが足元に収めた。中央にいた奥川に対峙する相手は一人。奥川はその左側にコースを取って走った。

「ああいう動き出しっていうのは、ドイツで、ヨーロッパでプレーしてきて、あそこに行ったら点が取れるというコースが見えていました。今日、それが生きたのかなと思います」

 ラファエル・エリアスからのパスをそのまま左足で蹴り込む先制弾。J1での自身初ゴールである。

「いいボールが来ましたし、自分のポジションもいかに簡単に決められるところに行けるかを考えながらやっていたので、それが良かったかなと」

 京都で育ち、オーストリアとドイツでプレーして渡って10年。1月にアウクスブルクから戻ってきて、そこで得たものをJ1の4試合目で形にしてみせた。そしてこのゴールによって、京都に今季初めての勝ち点3がもたらされた。

「僕自身もホッとする部分と、チームに勝ち点3が必要なタイミングだったので、僕のゴールで取れたのはすごくうれしいです。でも、プレスをかけてくれたおかげであそこにボールが来たので、チーム全体に感謝したい」

 ゴールを生み出すポジショニングが奥川の10年を表現するものだったとすれば、ミスを誘ったプレスにはこの試合にかけるチームの思いがにじみ出ていた。今季はここまで勝利なし。第2節の浦和レッズ戦、3日前の前節ヴィッセル神戸戦ではどちらも先制しながら追いつかれ、しかも神戸にはアディショナルタイム11分に蹴り込まれていた。

「前節はプレスの部分で迷いがあった中で、チーム全体で話しました。このチームは守備から攻撃につなげるプレースタイルなので、まずは守備で意思疎通していこうと」

 今季初めて先発で起用した曺貴裁監督は、独特の表現で奥川の持ち味を言葉にする。

「人には真似できない、ボールをゼロ状態から100にもっていける選手。素走りよりもボールを持った方が速い、珍しいタイプの選手です。今日の時点でまだまだですけど、そのストロングは間違いなく彼のストロング」

 チームに加わってからまだ1カ月ほど。フィットするには時間が必要だが、ボールを持ったほうが速いという特徴は京都の新しい武器になる。そのために、奥川自身が心がけていることは?

「練習ではボールを持ってアシストする場面は結構あるんですけど、試合になるとまだ相手がいてやることも変わってきますし、僕自身が試合に出るためには、チームの決まり事、プレースタイルを理解しながら自分の良さを出していかなければいけない」

 チームの戦い方を真摯に学ぶいま、そのレッスンを少しでも早く終えることを目指しながら、次の活躍に思いを馳せる。

「このチームにもっと上を見せたいというのもありますし、個人としてはここからまたステップアップして選手として成長したいと思っています」


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