上写真=ペトロヴィッチ監督(右)と駒井善成は8年半、ともに駆け抜けた(写真◎毛受亮介)
■2024年12月1日 J1第37節(観衆27,105人/@Eピース)
広島 5-1 札幌
得点:(広)加藤陸次樹、東 俊希、トルガイ・アルスラン、ピエロス・ソティリウ2
(札)鈴木武蔵
「若い人が新たな勇気を持って」
今季で監督としてのキャリアを終える確率は「95パーセント」。ペトロヴィッチ監督がそう明言した。
「もう少しで600試合なので、そこは達成したかったなという思いはあります」
2006年に来日して、J1リーグではサンフレッチェ広島の6年で158試合の指揮を執り、浦和レッズの5年半で190試合、北海道コンサドーレ札幌の7年で今季最終節までで246試合、合計で594試合ということになる。確かに、もう少しで大台に到達するところだった。
それを目前にした退任宣言だが、それでも「この18年半の仕事は誇り」と胸を張り、「若い人が新たな勇気を持って率いてほしい」と札幌の未来を託した。
そんなペトロヴィッチ監督の下で8年半の長きにわたって戦ったのは、駒井善成である。2016年に浦和に加わって出会い、ペトロヴィッチ監督が札幌に移った18年に行動をともにした。
「僕は若いときから札幌1年目までは、ずっとサイドでドリブルばっかりしているような選手だったんです。でも、ミシャ監督のサッカーに触れることによって、3人目の動きであったりとか、中でのポジションを任せてもらえるようになって、選手としての幅をすごく広げてもらいました。本当にありがたいと思っていますし、お世話になった監督です」
だからこそ、その最後の年にJ2降格を受け入れなければならない現実を悔やんだ。
「いい形でここまで来ることができれば一番それが良かったんですけど、最後にこういう形で、札幌がうまくいかないときの監督にさせてしまって、すごく責任を感じています。だからこそ、監督として最後になるかもしれない試合は、なんとか勝利で飾ってあげたいと強く思っていますし、そうなれるようにしっかり準備したい」
このサンフレッチェ広島戦のために移動している機内で、柏レイソルがヴィッセル神戸と引き分けたことで降格が確定した。広島にも1-5で敗れ、試合後にサポーターの声に耳を傾けた。
「サポーターの皆さんがこう言ってくれたんです。自分たちが応援しているのは、この北海道コンサドーレ札幌というクラブで、強いとか弱いとか関係なく、このクラブが好きだから応援してる、って」
残り1試合、ペトロヴィッチ監督のために、サポーターのために、札幌のために戦う強い気持ちが心に火を付ける。
「それを結果で、強いチームとしてサポーターに応えてあげたい気持ちはもちろんありますし、今シーズンはなかなかそういう形を見せられなくてすごく申し訳なく思っています。ラスト、ホームで試合があるので、みんなの思いを背負ってピッチに出ます」
12月8日の柏レイソル戦。そこで見せるべき「ミシャサッカー」の集大成は、駒井にとってはどんなものだろうか。
「やっぱり、アグレッシブなサッカーのスタイルを見せたいです。攻撃もアグレッシブだし、守備もマンツーマンでアグレッシブに奪いにいくサッカーをやっているので、そういうところを最後に悔いなくやりきって終わりたい」
長い旅路を一緒に走り続けてきたペトロヴィッチ監督と駒井善成がともに戦うラストマッチには、迷いなく、力強く、とことん戦い抜く姿がふさわしい。