上写真=藤原奏哉が同点ゴールを決めて雄叫び!(写真◎J.LEAGUE)
■2024年11月9日 J 1第36節(観衆14,472人/@三協F柏)
柏 1-1 新潟
得点:(柏)細谷真大
(新)藤原奏哉
「まずはふかさないように」
アディショナルタイムも4分。柏レイソルに奪われた1点を追うアルビレックス新潟は、左から攻めた。深くまで入り込んだ橋本健人が送ったやや滞空時間の長いクロスはファーへ。バックステップを踏みながら小見洋太がヘッドで落とす。
その瞬間、藤原奏哉の頭には、1週間前のあの場面の映像が鮮明に甦った。
11月2日のルヴァンカップ決勝。0-2で迎えた57分に、同じように左からのクロスを太田修介がヘッドで落としたところを右足でたたいたのだが、ゴールの上に飛ばしてしまった。絶好のチャンスでシュートミス。
「1週間前にも同じようなシュートでふかして、巻き返すチャンスを無駄にしてしまって…。もう完全にシチュエーションも一緒だったし、場所も一緒だった。一瞬、よぎりましたね。それはたぶん、僕だけじゃなくてみんなそう思ったと思います」
だから、今度は決めるしかなかった。
「まずはふかさないようにというのが第一で、コースも左側が空いてたので、そこに流し込むというか強くたたこうと」
右足をコンパクトに鋭く振るボレーシュートで、ゴール左へねじ込む同点ゴールだ。目の前に陣取るサポーターが喜びを爆発させた。ただ、藤原自身は控えめだった。まだ同点。残り時間は少ないとは言え、もう1点を狙う思いでいっぱいだった。
このゴールはポジショニングの勝利でもある。左サイドでチャンスを作るとき、右サイドバックの藤原はいつもゴール前に顔を出す。
「時間もなかったし、クロスに対してどれだけ人をかけて押し込めるかという状況でした。両サイドの幅をうまく使えたシーンで、相手はコンパクトに守ってくるチームだからサイドをうまく使うことで中央のスペースが空いてくる。みんなの動きをしっかり連動させることができれば、相手を押し込むことができるわけで、得点シーンはそれができました」
1週間前の失敗を取り戻す形になった劇的同点弾に、自身の成長を認める。
「そこはやっぱり自分を褒めたい。ちゃんとできたな、って。チームを救う1点だと思うので、そこは褒めていいんじゃないかなと思います」
敗れていれば柏と順位が入れ替わり、降格圏が足元まで迫ってくる状況になっていた。だから、その価値はとにかく大きい。
「サポーターには少しでも光を見せられたかな」
もっと明るい光を届けるために、残り2試合でJ1残留というミッションを達成しなければならない。