上写真=荒木遼太郎が4カ月ぶりのゴールをPKで奪ってこの笑顔(写真◎J.LEAGUE)
■2024年9月21日 J1第31節(@埼玉/観衆41,379人)
浦和 0-2 FC東京
得点:(F)オウンゴール、荒木遼太郎
「連動できてるなっていうのが一番」
「やっぱり決めたらうれしいし、気持ちいいな、って」
5月15日の第14節、名古屋グランパス戦以来、およそ4カ月ぶりのゴールを決めて、荒木遼太郎ははにかむように静かに微笑むのだった。
17分のそのPKは、ほぼ真ん中に蹴る大胆なショット。
「真ん中のあたりで(GKが)跳んだ逆にいければいいかなと思って、最後は(向かって)右側に跳んだので、真ん中寄りの左に軽く流したという感じで蹴りました」
ゴールの向こう側の浦和レッズのサポーターから、激しいブーイングを一身に浴びる。目の前に立つのは百戦錬磨のGK西川周作で、最後の最後まで動かない。ぎりぎりの駆け引きに勝ったのだ。
FC東京のPKといえばディエゴ・オリヴェイラで、前節の名古屋戦でも決めている。だが、今回は荒木。
「試合前に話していて、前回譲ってくれたから今日は蹴っていいよ、って言ってくれて」
ピッチの中ではできるだけ近づいてプレーするように心がけていて、同時にピッチ外でもコミュニケーションが取れている。エースとのコンビネーションは抜群なのだ。
これで2-0として、試合を優位に進める一発になった。久々のゴールだが、取れない間に焦りのようなものはなかったという。チームに貢献するのは得点だけではないからだ。
「最近は自分としても、違うところでチームに貢献できてたと思っていたので、そこに対してはそんなに思ってなかったです」
「違うところ」はピッチの中にいくらでもあった。守備に真摯に奔走し、球際で緩まず、前がかりになる浦和をよく見て相手の間のポジションに入り、攻撃に入る最初のパスを受けてから有効なスペースに展開した。
「一人ひとりの守備の意識が変わったのかなと思うし、全体的に攻撃に関しても守備に関しても連動できてるなっていうのが一番。それが、連勝につながっているのかな」
どこかでぶつ切りになりがちだった青赤の攻守が、意図的につながるようになったはそんな理由からだと分析する。早々に2点をリードしたことで逆に、試合の進め方が難しくなる可能性もあったから、工夫も仕込んだ。
「速い攻撃ばかりしていてちょっと疲れてたのもあって、ゆっくり自分たちでボールを持ちながらゲームコントロールすることを、後半は心がけながらやっていました」
荒木はテクニックがあるからボールを失わない。これが自分たちの時間を作るのにどれだけ効果的か。
「非常にチームとしても流れがいいですし、やってるサッカーが本当に楽しいなって、いま感じてます」
その中心に、背番号71がいる。