構成◎サッカーマガジンWeb編集部
上写真=高宇洋(左)と三浦颯太は、それぞれ相手チームのアカデミー出身だ(写真◎サッカーマガジン)
「ブーイングもいいですね」「僕は拍手で」
高 宇洋 はじめまして、なんですよね。さっきあいさつしたばかりです。
三浦颯太 はい、はじめまして、です。よろしくお願いします。
――今日はFC東京の小平グラウンドの施設内で「多摩川クラシコ」に向けた対談を行っていますが、三浦選手はFC東京のアカデミーである「むさしU-15」で育ち、当時はここによく来ていたんですよね。
三浦 そうです。懐かしいですね。今日、通ってきた道も懐かしいなあ、って。むさしU-15のときには寺山翼と同期でした。
――川崎FのアカデミーではU-12からU-15まで所属した高選手は、いまのフロンターレで当時一緒だったりした人はいますか。
高 いまは(脇坂)泰斗くんぐらいですかね、知り合いは。
――そんな、いまでは相手チームのアカデミー育ちのお二人ということで登場してもらいましたが、当時の頃を思い出したりしますか。
高 フロンターレの試合はいっぱい見に行きましたし、多摩川クラシコはやっぱり盛り上がるのでめちゃくちゃ東京に対してブーイングしていました(笑)。いつかはクラシコに出たいなと思ってましたね。もちろんその頃は、フロンターレの選手として(笑)。
三浦 僕もゴール裏で試合を見ていたので、もちろん東京側としてフロンターレにブーイングしてました(笑)。同じようにピッチに立って試合したいな、と思ってました。
高 サポーターもすごく熱くなる試合ですし、絶対に負けられない戦いだなっていうのは感じてました。
三浦 すごい盛り上がる一戦だという印象もありますし、試合前の煽りビデオは鮮明に覚えてるんですよね。イルカとタヌキが、ちょっと怖くなって戦ってるみたいな、そういう映像とか。
――選手として臨む「多摩川クラシコ」では、逆に古巣のサポーターにどんなふうに迎えてもらいたいですか。昔、自分がしていたようにブーイングですか? それとも温かい拍手でしょうか。
高 アルビレックス新潟にいたときにも対戦していて、そのときは拍手してもらうことも多かったですし、パイナップルももらって優しくしてもらいました(笑)。とてもうれしいですけど、クラシコはピッチ外でもバチバチやっているイメージがあるので、ブーイングでもいいですね。
三浦 僕は…、そうですね、優しくしてほしいですね(笑)。僕がFC東京のジュニアユースにいたことを知っている人はあまり多くないと思うんですけど、もし知っている人がいたら拍手してくれたらうれしいです。
「味スタでできるのが楽しみ」
――面識がなかったお二人は、今年3月30日のJ1第5節の「多摩川クラシコ」 で対戦しています。お互いの印象はどんなものでしたか。
高 左利きで、力強さがあって、推進力があるなと思います。
三浦 もしかして、調べてきたんですか(笑)。高選手は賢いというか、嫌なポジションを取ってくる印象がありますね。
高 なんか照れますね(笑)。
――その対戦では川崎Fが3-0で勝利を収めています。
高 東京に移籍してきてまだ自分にとっての2試合目で、初めて負けたわけですけど、すごく悔しかったですし、スコアもスコアで、こっちに退場者が出てから好き放題やられた印象が…。
三浦 僕も移籍して1年目でホーム初勝利の試合だったので、その相手がFC東京だったことはとても印象に残っています。チームとしてもやりたいことができて、個人的には長友(佑都)選手とマッチアップしたので、気合が入った試合でした。クラシコには初めて出て、すごく盛り上がっているのを感じましたし、次は味の素スタジアムでできるというのがすごく楽しみなんです。
――その対決に臨んだときの思いは、やはり特別だったでしょうか。
高 (実家から5分の場所にある)等々力での試合でしたし、僕自身も東京で試合に出始めたばかりだったので、個人としてしっかりアピールして、チームとしては絶対に勝たなければいけない試合でした。でも残念な結果になってしまって、すごく気持ちの入った試合だったのにああいうゲームをしてしまって悔しかったです。
三浦 シーズンのはじめの方の試合で等々力では今季はまだ勝っていなかったので、なんとしても勝ちたい試合で、実際に良い結果を得られましたし、僕も相手がFC東京だったということで有意義な時間でした。
――実際に戦ってみて、「古巣」に対する印象が変わったり強く心に残ったりしたことはありますか。
高 川崎さんはやっぱり技術力があるし、どのポジションの選手でもしっかりと「止めて蹴る」ことができるので、やっぱりチームカラーとしてしっかりあるんだなという印象でした。
三浦 個人個人の能力が高くて、少しでも気を抜いたらそこでやられてしまう緊張感があるゲームでしたね。
――高選手はフロンターレ育ちでありながら、この前ついに、ライバルであるFC東京のキャプテンにも就任しましたしね。
高 あまり変わらないですけど、より責任感を持ちながらチームを勝たせられる選手になっていきたいですね。ここからは落とせないゲームが続くので、しっかり勝ちきれるようにやっていきたいと思います。
「勝てば何でもいい」
――8月11日の「再戦」で、お互いに負けたくないポイントはどこでしょう。
三浦 僕は「突破力」。自分の長所でもあって、それを味スタで出すことに意味があると思うので、そこを見せたいと思います。
高 僕は「奪取」ですね。ボールを奪うところは負けたくないし、個人としてもチームとしても、前回は負けているので、勝ち点をしっかり取るという意味もかけて「奪取」にしました。
――前回対戦では、川崎Fの3ゴールのうち、三浦選手は2点に絡んでいます。長友選手を抜き去って上げたセンタリングから先制点が生まれ、3点目も瀬古樹選手へパスを送ってそのまま内側を駆け抜けることで相手を引き付けた結果、最後は橘田健人選手のゴールにつながっています。今度もその攻撃面での強みを出していくことが求められそうですね。
三浦 そうでしたね。どの試合でもそうですけど、長所をしっかり出して、前回対戦では結果にもつながっているので、今回もしっかり数字を残せればと思ってます。
――逆に高選手はやり返したい強い思いもあるのでは?
高 そうですね。とにかく勝ち点3を取れればいいと思っています。勝てば何でもいいですからね。