6月2日の明治安田J1リーグ第17節で、川崎フロンターレが名古屋グランパスを2-1で下した。川崎Fの2つのゴールはいずれも家長昭博が記録したもの。特に最初のゴールは軽やかなダイビングヘッドで生まれたが、その一連の身体操作はとてもきれいだった。

上写真=鬼木達監督に祝福される家長昭博。コンディションの良さが表れる(写真◎J.LEAGUE)

■2024年6月2日 J1リーグ第17節(@U等々力/観衆19,463人)
川崎F 2-1 名古屋
得点:(川)家長昭博2
   (名)ハ・チャンレ

「いま、いい選手がいっぱいいる」

「練習で、あそこすらせてくれるのをやっていたので、信じて入りました」

 瀬古樹の右からのCKに合わせて、高井幸大がニアで跳んでヘッド。角度の変わったボールが逆サイドへ飛んでいき、そこに家長昭博がいた。バウンドに合わせて軽やかなダイビングヘッドでたたき込み、わずか6分で先制ゴールを決めた。

 ジャンプして空中で右手を握り締めてガッツポーズ、駆け寄る仲間の祝福を受けた。

 ゴールへの一連の動作を見れば見るほど、その身体操作のスムーズさが伝わってくる。遠いエリアで気配を消してフリーになり、適度に脱力した状態でボールを呼び込むようにして体の正面にとらえると、その一瞬に力を込めてヘッドでまっすぐ押し込んだ。コンディションの良さはこういうディテールににじみ出てくるのだろう。

 鬼木達監督も、6月13日で38歳になる家長のコンディション作りに感銘を受ける一人だ。

「あの年齢であのパフォーマンスを出せるのは日頃の準備でしょう。こちらがトレーニングがきついだろうと思うところでも、残ってプラスアルファでやり続ける。自分自身の体との向き合い方、キープするよりチャレンジする姿が見受けられるので頼もしい。僕からすると自分の体を試しているように感じますね。あの年齢でチャレンジするのを見ていると、やっぱり感じるものがあります。それで結果が出れば、説得力が伴うと思います」

 その詳細について、家長本人は「いろいろ変えていますけど、立ち話では言いたくない」としたが、それだけ深くていねいに体に向き合っている証拠だろう。

「やっぱりいい歳なんでね。何か変えていかないとみんなについていけないのが現実としてあるので。自分のやれることは減ってきてると思うのは事実だし、でも、それをちょっとでも改善できたり、やるべきことができるようにやってます」

 そんな姿はチームメートにも刺激を与えている。脇坂泰斗が証言する。

「自分のことを知り尽くして、自分の体やコンディションに常に向き合っていないと、あそこまでのクオリティーでこんなに長年できないと思います。皆さんが見えていないところを僕たちはチームメートとして見ていて、そりゃそうだよね、って納得する部分も多いですし、そういう人がチームメートにいることによって、すごく励みになっています」

 18分の追加点も家長が決めてみせた。転倒した三國ケネディエブスからボールを奪い、飛び出してきたGKランゲラックを左足で鋭く切り返しでかわして右足で無人のゴールに流し込んでいる。ミスがあったとは言え、相手のセンターバックにしっかりと寄せにいったことで奪えたし、ランゲラックの動きも逃さず見ていて、冷静な家長らしさが詰まったゴールだった。

 ここ2試合奪えていなかった課題の追加点。いわば「2点目の壁」を破ったわけで、「2点目が必要なのは分かっていたので、細かいことよりも取れてよかった」とシンプルに振り返るのだった。

 最後に1点を許したものの、2-1で逃げ切った。この勝利を上昇の兆しにしなければならないが、そのために必要な新たな息吹きも感じているようだ。

「いま、いい選手がいっぱいいると思うんです。彼らがのびのびと自信を持ってこれからどんどん成長していていければ、もっともっと上に行けるなと。今日は(山内)日向汰が頑張ってましたけど、他にもいっぱいいい選手がいます。彼らがどんどんグラウンドの上で躍動できるようなチームになっていけたらいい」

 そのために日々、示すのは「自分ができることを、自分がやるだけ」という変わらぬ姿勢である。


This article is a sponsored article by
''.