開幕から3試合勝利をつかめなかったFC東京だが、アルビレックス新潟から加入したMF高宇洋が先発した4節のアビスパ福岡戦で快勝(3−1)。新戦力のボランチが攻守両面で大きな働きを見せ、チームは見違える戦いぶりを披露した。続く多摩川クラシコでは連勝とならなかったが、新風を吹き込んだ男に緊急インタビューを実施した。3日の浦和レッズ戦、7日の鹿島アントラーズ戦と国立競技場での連戦に臨む心境と、加入後の自身の歩みについて聞いた。

上写真=福岡戦で初出場し、続く川崎F戦でも先発でプレーした高宇洋(写真◎J.LEAGUE)

東京で絶対的な存在になりたい

――4節の福岡戦でチームは今季、初勝利を挙げました(3月16日/3ー1)。高選手自身も初先発でした。

 出られない時期はやっぱりしんどかったです。メンタル的なところで言えば、久しぶりにきつい時期を過ごしたなと。僕自身、新潟からFC東京に覚悟を持って移籍してきて、試合に出て活躍するイメージを持っていました。開幕戦から出場したいと思って取り組んできて、キャンプから自分のコンディションも上がっていましたし、正直、自信もあった中で最初はリーグ戦に絡めなかった。悔しかったですね。

――それでも前向きに取り組めたのはなぜでしょう。

 自分の状況についてベクトルを外に向けたところで、何も変わらないですから。自分自身に何かが足りないから出られないんだって矢印を自分に向けて取り組みました。そのことでしっかりコンディションを維持できましたし、自分のプレーをFC東京がやりたいサッカーの中でどう表現すればいいのかを考えました。福岡戦ではある程度、それが出せたと思うし、チームが勝つこともできました。あとは出られない期間にみんなに声をかけてもらったことも大きかったですね。

――どういう言葉を?

 出られない時期も「お前は大丈夫」「必ず出番が来る」って言ってもらえました。それは大きな支えで、メンタルを保つことができましたね。

――自分に矢印を向けたときに、必要だと感じたものはどんなことだったのでしょう。

 僕の中では、新潟よりも東京の方がスピードや前に向ける矢印が強いと感じています。そのことは監督(ピーター・クラモフスキー)からも求められる部分だったので、最初は戸惑うところもありましたけど、そこで何をすべきかを整理し、意識して出していこうと考えました。

――新潟時代から培った部分で生かせる部分、修正が必要だった部分は、例えばどういうところでしょうか。

 生かせるなと思うのは、やっぱりビルドアップの部分です。新潟で僕自身、「本当にうまくなったね」と言われる機会が多くて、今もビルドアップに対しては自信を持ってできています。福岡戦のように保持しながらリズムを作れると思うので。その点は東京で違いを感じる部分もあって、新潟はどちらかというと、みんなが枠組みを共有していて、相手を見ながら、止まりながらプレーしているんですが、東京では動く中でボールに関与していくということなので。そのあたりのバランスを見いだせたら、さらにいいのかなと思います。

――チームは開幕から未勝利が続きましたが、外から見て感じていたことはありますか。

 相手が守っている、構えている中にボールが入っていかないという印象もあって、それを実現するにはどうしたらいいのかと考えていました。あとは選手間の距離が少し離れすぎているかなと。

――その中で、福岡戦で先発の機会が訪れます。

 試合の2日前ぐらいに監督と話して「楽しんでくれ」と言われました。僕の中ではもうずっと準備していたので、あとは自分を出すだけだなと思いましたし、先ほど言ったような外から見て感じていた部分をピッチで表現するだけだと思っていました。もちろん、外から見ていて言うのは簡単ですし、ピッチの中で感じるプレッシャーはまた違うものがあります。それを踏まえて、しっかりと表現しようとピッチに入りました。

――実際、高選手は数多くボールに触れて、両チームで最多となる70本のパスを出しています。もちろん相手もあることですが、ボールが回るようになってチームが見違えたという評価もあります。

 評価していただくのはありがたいですが、何よりチームが勝てたことがうれしかったですね。僕自身はあの試合が初めてのスタメン出場でしたし、このチャンスを逃したらまた立場が難しくなると思っていたので、本当に結果が出たことが一番でした。もちろん僕自身も多くボールに関与することを意識して臨み、少しは自分の持ち味を表現できたのかなと思います。ただ、もっともっと上のレベルを目指したいし、個人としてもチームとしても、もっと上に行かなきゃいけないと思います。攻守両面でもっと存在感を出していかないと。一つ勝ちましたけど、これを続けられるかどうかが問題で、僕は東京で絶対的な存在になっていきたいので、全ての質を上げてスケールアップしていきたいと思っています。

――サイドからのリターンをダイレクトで中央につける縦パスも印象的でした。

 真ん中で常にボールに関わり続けたいと思っていますし、ボランチとしてボールを触ってチームのリズムを作ることを意識しています。ボールホルダーに対して周りが受け続ける意思を示すというか、しっかりサポートに行くこともちょっと足りていなかったと思ったので、その点を意識していました。あとは前線の選手に気持ちよくプレーしてもらえれば、このチームは個の能力が高い選手がいるので、チームとして機能すれば勝利に近づけるはずなんです。だからシンプルに前にどんどんボールをつけてようと思っていました。

――ボランチでコンビを組んだ小泉慶選手との役割も整理されていたように映りました。

 公式戦は初めてでしたけど、練習試合では結構組むことも多かったのでスムーズにできたと思います。上手くいっていない時間には、僕と慶くんでパス交換を増やそうっていうのは話をしていて、シンプルに僕に付けてくれる場面も多かったし、パス交換は比較的増えたんじゃないかなって思います。あとは、どちらがボールをピックアップするかも状況に応じてやって、縦関係になったり、バランスを取りながらやっていました。

――松木玖生選手や荒木遼太郎選手が下がってきてビルドアップに関わるので、そのあたりのバランスも考えつつプレーしているように映りました。

 バランスを取るのも僕の良さだと思っているので、周りが気持ちよくっていうか、うまくプレーできるような状況を作ったり、どこに入っていくかをすごく意識しています。それが少しでもできていたのなら、うれしいですね。

――もう一つ、それ以前の試合から改善された点としては守備面があると思います。プレスの行き方とタイミングが整理されていた印象です。

 僕自身、ミドルブロックの守備がちょっと気になっていました。試合の立ち上がりに関して言えば、テルくん(仲川輝人)と(遠藤)渓太くんという両ウイングが、相手の3枚の脇に対してアタックするというのはありましたけど、全部、それをやっちゃうと後ろが遅れてしまうケースもあるし、逆にスペースを与えることにもなり、そうなるとウイングの体力が無駄に削られてしまいます。だからゲームの中で5メートル、10メートル落として、うちのウイングが相手のセンターバックじゃなくてウイングバックに対してアタックすることで、チームのコンパクトさを保てると感じたので、そこは試合中に話しながら対応できたと思います。実際、僕と慶くんでセカンドボールを拾えていたので、手応えはありましたね。


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