FC東京は30日、川崎フロンターレとの多摩川クラシコに臨み、0−3で敗れた。1点を追いかけていた後半途中にGK波多野豪が退場。急きょ出場することになったのが、Uー23代表の活動から戻ってきたばかりの野澤大志ブランドンだった。

上写真=75分から出場したFC東京のGK野澤大志ブランドン(写真◎J.LEAGUE)

後ろからの迫力をもっと出したい

 急きょの出場だった。しかも難しい局面だった。

 72分、先発でゴールマウスを守っていた波多野豪がエリソンの飛び出しに対応するためにボックスの外まで出張ってプレー。激しい接触で一発退場となり、FC東京はGK不在となった。

 1点を追いかけるシチュエーションで、しかも1人少ない数的不利になってから仲川輝人に代わって登場したのが、野澤大志ブランドンだった(75分から出場)。

「0−1をキープして、1点を取って引き分けに持ち込めればよかったですけど」

 難しい状況の中で残り20分あまりの時間を、まず無失点で切り抜けることを心がけた。しかし一人少ない状態がチームの劣勢を招く。FC東京はそこから2失点を重ねる。83分に山田新、90+2分に橘田健人にゴールを決められてしまった。

「自分としては2失点とも防げるチャンスがあったと思うので、後悔はあります」

 そう言って悔しさを噛み締めた野澤。チームとしては4節の福岡で今季初勝利を挙げ、手応えをつかんで臨んだ試合だった。川崎F、浦和、鹿島とビッグゲームが続く3連戦の初戦でもあり、いいスタートを切りたかったところだろう。

 ただ、野澤個人にフォーカスすれば、開幕から4試合ベンチを温めていたこともあり、これが今季初出場。好機が巡ってきたということもできる。リーグ戦の中断期間にはUー23日本代表の活動に参加。22日のUー22マリ代表との試合に先発出場した。

 Uー23日本代表は4月16日からパリ五輪出場権をかけて『AFC・Uー23アジアカップ』に臨む。そのメンバー発表は4月4日に予定されており、野澤は3日の浦和戦でも出場濃厚で、格好のアピール機会を得たとも言える。

 本人もその点については「不思議とチャンスが回ってきて、次戦はどうなるかわからないですけど、より試合に出るチャンス、可能性が高くなったのは自分としてはすごくポジティブな要素」とコメント。最後のアピール機会へ意欲を示した。

 1月から2月はじめまでは『アジアカップ2023』に参加し、A代表の基準の中でトレーニングを行った。そのためFC東京のキャンプにスタートから参加することはできなかったが、他では得られない貴重な経験を積むことができた。さまざまな活動を経た今、野澤の中でパリ五輪最終予選、本大会、そして再びA代表と、目指すべき道がはっきりと見えているだろう。

 この日はUー23代表の大岩剛監督も視察に訪れ、「3月に活動した選手を中心に最終予選のメンバーを選ぶ」とコメント。GKは3人選ばれていたが、マリ戦に出場した野澤、Uー23ウクライナ代表戦でプレーした小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)が当確と言えそうだ(もう一人は藤田和輝=千葉)。

「自分が表現したいもの、自分の持ってるものを、周りに合わせるとか、この試合展開に対して相手に合わせてプレーするとかじゃなくて、自分たちが相手に圧力かけるっていうことをやっぱりキーパーからやりたくて。キーパーは攻撃のスタートですし、守備においては一番最後尾でゴールを守ってるわけですし、後ろからの迫力みたいなものが、自分の中ではもっと必要だと思っています」

 試合には敗れたが、代表活動を経て攻守両面で「表現したい」ことも明確になっている。最終予選に選出されれば、4月中旬からしばらくクラブを離れることになるが、本大会出場を決め、より大きくなってクラブに帰還することが理想であり、目標になる。

「自分がもっているものをどれだけ出せるか。(次の試合までに)頭の中を整理したい」

 川崎F戦の敗戦を受け止め、次戦に向けてしっかり切り替えて臨みたいと野澤。国立競技場の2連戦の初戦、浦和戦へ向けて勝利を誓った。


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