2月25日の明治安田J1リーグ第1節、東京ヴェルディ対横浜F・マリノスの一戦で、東京Vの見木友哉がJ1デビューを果たした。昨季までジェフユナイテッド千葉で技術に秀でたMFとして高い評価を受けてきた背番号10が、国立競技場で手にしたもの。

上写真=J1デビューは国立競技場で。見木友哉が可能性を感じさせるプレーを披露した(写真◎J.LEAGUE)

■2024年2月25日 J1リーグ第1節(@国立/観衆53,026人)
東京V 1-2 横浜FM
 得点:(東)山田楓喜
    (横)アンデルソン・ロペス、松原健

「もっと違いを作らなければ」

「僕は攻撃のときにはもう少し持ちたかったんだけど…」

 見木友哉は自らの「J1デビュー」を苦々しく振り返った。ジェフユナイテッド千葉から今季、東京ヴェルディへ覚悟の完全移籍を決意し、背中に「10」を着けた。そして、横浜F・マリノスとの「国立決戦」で、J1としてのキャリアを踏み出した。

 しかし、衝撃の逆転負け。

 前半は東京Vが横浜FMをうまくいなしていた。7分に山田楓喜が鮮やかなFKを沈めて首尾よく先制すると、中盤のセンターでキャプテンの森田晃樹とコンビを組んで、相手のパスのコースを見切って引っ掛けてカウンターを発動。リスク管理に気を配りながらも、フィニッシャーとなるべくゴール前に飛び出していった。だが、自らシュートは打てずじまい。

「自分がJ1で初というよりは、ヴェルディとしての戦い方でちょっと守備の時間が多くなるというか、相手がマリノスだからということもありましたけど、守備から入るというところでは前半は特にプレッシャーをかけてカウンターからチャンスも作れていたので、2点は取りたかったなっていう印象です」

 そう話したあとに、冒頭の一言をつぶやいたのだった。

 88分までは1-0のままリードしていたが、後半は横浜FMに押し込まれる時間が長くなり、相手の足元に食らいつくシーンが目立っていった。ボールを巡る至近距離のバトルが増えたということは、前半のようにボールをリズムよく巡回させることができなかったことの裏返しでもある。

 そうやって圧をかけられて、その結果として相手のクロスが河村慶人の手に当たってPKを献上してしまう。89分にアンデルソン・ロペスに決められて同点に。

「後半になって圧力を強められて、同点の前にも危ないシーンは作られていましたし、あれだけ自陣に閉じ込められると事故のような感じでハンドになってしまう確率は上がってしまう」

 だから、もっとボールを持って相手陣内に押し込むことが必要だということを、横浜FMに目の前で教わったわけだ。そして、最後の最後、90+3分に松原健に豪快に決められて、まさかの逆転負けを喫することになった。

 敗れたとはいえ、初めてのJ1で自らが戦っていくための「基準」を感じることもできただろう。一つは、もっとボールとプレーすること。

「守備の時間が多くなる中で、ボール奪取できる場面も作れました。攻撃の時間が少ないので自分の持ち味を出す場面は少なくなるんですけど、その中でもボールを持ったときにもっともっと違いを作らなければいけないと感じています」

 もう一つは、ゴール前に飛び出していくこと。

「今日は自分がボールを触る時間はそんなに多くは作れなかったですけど、カウンターになったときに飛び出して、ゴールに関わっていく部分で結果を出していかなくちゃいけない」

 ゲームを作ること、ゲームを決めること。J1で初めての90分で、その糸口をつかむことはできた。「自分自身をさらに上に上げられると思う」という実感と、「チームがどうだからじゃなくて、自分がボールを失わないでどれだけ前に運べるかは、自分自身の伸びしろかな」という次のテーマを手にして、国立競技場を後にした。


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