明治安田生命J1リーグ第8節が13日に行われ、東京・味の素スタジアムでは東京ヴェルディとFC東京が対戦。立ち上がりはFC東京のペースも、すぐに盛り返した東京Vが前半に2点をスコア。リードを奪ったが、終盤、FC東京の遠藤渓太が躍動。2ゴールを叩き込み、16年ぶりにJ1の舞台で実現した東京ダービーは2−2で決着した。

上写真=終盤に2ゴールをスコアし、FC東京に勝ち点1をもたらした遠藤渓太(写真◎J.LEAGUE)

■2024年4月13日 J1第8節(観衆31,746人/@味スタ)
東京V 2−2 FC東京
得点:(V)見木友哉、染野唯月
   (F)遠藤渓太2

1人少ない状態から追いついたFC東京

 東京ヴェルディは、右サイドのレギュラー格である山田楓喜がU23日本代表の活動(AFC U23アジアカップ)のため、不在。代わって、齋藤功佑が右サイドに入った。

 一方のFC東京も松木玖生、荒木遼太郎、野澤大志ブランドンが同代表の活動でチームを離れており、一気に3人抜けるため、誰が代わりを務めるのか注目されていた。荒木に代わって1トップに入ったのは前節の鹿島戦と同様に本来、右サイドだった仲川輝人(荒木は鹿島からレンタル移籍中のため当該試合に出場できない)。松木が第4節以降担ってきたトップ下は小柏剛が務め、ゴールマウスには出場停止あけの波多野豪が立った。

 不在者の数を比べても、さすがにFC東京の戦力ダウンの方が大きいと思われたが、「誰かに依存するチームづくりはしていない」というクラモフスキー監督の言葉通り、攻守両面で連動が見られ、連勝を飾った戦いぶりを継続する。MFとDFの2ラインをしっかり保ち、ライン間にボールが入ってきもきっちりマークについて簡単には振り向かせず、ブロックの外に押し出す守備を披露した。前から行けるときは果敢に前からプレスを実施。開始20分までアウェーチームのペースと言えた。

 だが、ホームチームも焦れずに攻めの糸口を探し続けた。ブロックの外をなぞるようにパスを回していたが、テンポを変えつつサイドバックの背後に人とボールを送り込むようになると、リスタートをきっかけに最初のビッグチャンスをつかむ。左サイドで得たFKの場面、中央から左サイド深い位置に流れた染野唯月がボールを引き出すと、対峙する白井康介の股の間にパスを通し、ボックス内に走り込む見木友哉につなぐ。

 チェックにきたFC東京の右ウイング、安斎颯馬に見木が足を刈られる形となり、転倒。東京VはPKを獲得し、これを見木が冷静に決めて先制に成功した。

 1点を先に手にしたことでホームチームが俄然、勢いづく。追加点までを記録するまでもそれほど時間はかからなかった。34分だった。攻めに転じたFC東京の左CBエンリケ・トレヴィザンの俵積田晃太へのパスが中途半端となり、宮原和也がカットに成功。そのまま持ち上がって狙いすましたクロスを供給すると、ボックス内でフリーになっていた染野が右足ボレー。見事なシュートでネットを揺らし、東京Vが2−0とした。

 ミスによって2失点したFC東京に43分、追い打ちをかけるような事態が起こる。球際の競り合いの中で安斎が見木の足を踏みつけ、この日、2枚目となるイエローカードを受けて退場となったのだ。以降、一人少ない状態で戦うことを余儀なくされた。

 2点を追うFC東京だが、後半の開始直後は数的不利の影響を受けた。プレスがかからないためにボールを奪えず、受けに回るケースが多くなる。結果、カウンターでしか攻めの形をつくれなかった。

 しかし、である。構えて守る中でもFC東京は一瞬のチャンスを狙っていた。東京VのCB山越康平から山見大登へ送られたパスを白井が前に出てカット。そのまま持ち上がり、クロスを送ると、走り込んだ遠藤渓太がダイレクト合わせてネットを揺らした。前半に東京Vが宮原→染野で決めた形をそのまま返すようなゴールで1点差に詰め寄った。

 終盤に入り、FC東京は攻撃的なカードを切って総攻撃の構えを見せる。それでもゴールが生まれず、試合はアディショナルタイムに突入。表示は4分。そしてその90+4分にゴールが生まれた。

 エンリケ・トレヴィザンを前線に上げた状態でGK波多野からロングボールを送ると、そのH・トレヴィザンが競り合ってこぼれたボールを仲川が拾って遠藤に横パス。ボックスの外から迷わず左足を振り抜くと、GKマテウスの守るゴール左隅にシュートを突き刺した。またしても遠藤のシュートによってFC東京が土壇場で2−2の同点に追いついた。

 一人多い状態にもかかわらず、2点のリードを守りきれなかった東京V。前半にミスから失点を重ね、一人少ない状態から最後の最後にドローに持ち込んだFC東京。ダービーであり、ともに悔しさの残る結果ではあるものの、試合展開と内容的に、この勝ち点1はFC東京にとってより大きなものだったかもしれない。

▼出場メンバー
・東京V◎GKマテウス、DF宮原和也、林尚輝、谷口栄斗(39分:山越康平)、深澤大輝、MF齋藤功佑(61分:翁長聖)、稲見哲行、森田晃樹、見木友哉(79分:松橋優安)、FW染野唯月(79分:綱島悠斗)、木村勇大(61分:山見大登)

・FC東京◎GK波多野豪、DF白井康介、土肥幹太、エンリケ・トレヴィザン、バングーナガンデ佳史扶(73分:長友佑都)、MF高宇洋(83分:ジャジャ・シルバ)、小泉慶(83分:原川力)、小柏剛(61分:寺山翼)、FW安斎颯馬、仲川輝人、俵積田晃太(61分:遠藤渓太)


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