第103回天皇杯ラウンド16が各地で開催された。三協フロンティア柏では柏レイソルと北海道コンサドーレ札幌が対戦。両チームはJ1第16節(6月3日)で激しい点の取り合いを演じたが、この日は1点を争う緊迫感ある試合を展開し、終始、集中した守備を見せた柏が勝利をつかんだ。

上写真=相手のミスを見逃さなかった柏は椎橋が決勝点をスコアし、勝利を飾った(写真◎Getty Images)

■第103回 天皇杯ラウンド16(@三協F柏/観衆4,676人)
柏 1-0 札幌
得点:(柏)椎橋慧也

ソリッドな守りが光ったレイソル

 J1第16節で4−5と点の取り合いとなったカード、柏対札幌が天皇杯のラウンド16で『再戦』となった。ただ今回は前回の対戦とは異なり、ロースコアゲームになった。

 ともに慎重さをもってゲームに入り、序盤は札幌が狙いとする攻めの形をピッチに描く。マンツーマンの守備で相手のビルドアップを封じ、ボール奪取に成功するやケガから復帰した小柏、浅野らの機動力を生かしていく。

 だが、柏も集中した守備でフリーでシュートを打つことを許さなかった。ゴール前では厳しい対応を見せ、札幌の攻撃を跳ね返す。

 均衡が破れたのは、22分のことだ。ミス絡みでゴールが生まれた。札幌のGK大谷がボックスを飛び出し、自陣左サイドでクリアを試みた。しかしキックの精度を欠いて相手にボールを回収されてしまう。そこから連続攻撃を許し、最後は椎橋に決められた。

 リーグ戦の中断期間に強度のあるプレーと連動したプレスを磨いてきたという柏はリードを奪うと、タイトな守備を継続。楔のパスには足を出してフリックを許さず、サイドチェンジには素早いスライドで対応してみせる。札幌の幅を封じる守備陣形もうまくはまっていた。何度も相手最終ラインの裏を突かんとする札幌の企みも粘り強い対応で抑え込み、前半は総じて柏の良さが出た45分間になった。

 迎えた後半、1点を追う札幌は当然、攻撃に重心をかけていくが、柏も中盤のラインと最終のラインでしっかり攻撃を受け止め、素早い切り替えからゴールを目指していった。56分には柏が左サイドを攻略し、三丸がクロスを供給。細谷がドンピシャのタイミングで飛び込み、ヘディングシュートを放った。ここは札幌のGK大谷が抜群の反応でストップ。ただ、柏が守備でリスムを作り、1−0のまま時計の針を進めた。

 札幌も79分にCKの流れからボックス左で荒野のシュート気味のクロスを供給し、触れば1点という状況を作り出す。しかしここは誰も反応できず、ボールはタッチラインを割ってしまう。対する柏は84分、相手の最終ライン上でフロートのポストプレーの落としを受けた仙頭がフリーでシュートを放つ。だが、こちらもわずかに枠を逸れて追加点は生まれなかった。

 攻める札幌、受け止めて攻め返す柏という攻防が終盤まで繰り広げられた。とはいえ札幌はなかなか深さのある攻撃を展開できず、柏は集中した守備を維持した。試合は4分間のアディショナルタイムへ突入。90+3分に札幌が獲得したFKの機会も不発に終わり、結局、柏がそのまま1−0で勝ち切った。リーグ戦では苦戦が続いている柏だが、組織立った守備で試合をモノにしたという点で、この勝利は大きな意味を持つ。選手たちも「次につながる」と試合後にはポジティブな言葉を口にした。

 対する札幌は、リーグ戦の新潟戦に続き、2試合続けて無得点で敗戦。J1屈指の攻撃力を誇り、今季もリーグ戦の半分を消化した時点でリーグトップのゴール数を残していたが、ここに来て得点力に翳りも見える。悔しい敗戦について、ふくらはぎの違和感により前半のうちに交代することになった宮澤は「狙いを持って崩せるところまでいけていない。そこはチームでもう1回整理する必要がある」と語った。次戦は中3日で迎えるアウェーの鹿島戦。チームとして立ち位置、ボール奪取後の展開を整理、確認し、リーグ戦6試合ぶりの勝利を目指す。

取材◎佐藤景

▼出場メンバー
・柏◎GK松本健太、DF古賀太陽、土屋巧(80分:高嶺朋樹)、田中隼人、MF川口尚紀、椎橋慧也、三丸拡、マテウス・サヴィオ(71分:フロート)、戸嶋祥郎(62分:小屋松知哉)、FW山田康太(62分:仙頭啓矢)、細谷真大

・札幌◎GK大谷幸輝、DF田中駿汰、宮澤裕樹(43分:馬場晴也)、中村桐耶、MFルーカス・フェルナンデス、福森晃斗(59分:駒井善成)、荒野拓馬、菅大輝、小林祐希(59分:青木亮太)、浅野雄也(78分:スパチョーク)、小柏剛(59分:キム・ゴンヒ)


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