上写真=右ウイングで先発した水沼宏太は何度かクロスで見せ場をつくった(写真◎J .LEAGUE)
悔しいけどめちゃくちゃ楽しい試合
マンチェスター・シティとの一戦で、横浜F・マリノスは先に2点を奪いながらも、追いつかれ、突き放されて3−5で敗れることになった。選手たちはUEFAチャンピオンズリーグを制した欧州王者の力を実際に体感することになったが、右ウイングとして先発し、73分間プレーした水沼は、試合中から多くのことを「学べた」と振り返った。
「スピードを感じたというよりは、立ち位置と動き出しのタイミングと、狭いところでの技術の高さと、距離感の良さと、なんかめちゃくちゃ勉強になるシーンがたくさんありました。回されるシーン、押し込まれシーンが多かったのもありますけど、それをやられた側からしてみたら、これはできるなとか、このやり方は絶対に落とし込めるなとか、試合中にも学べるところがたくさんあって。負けたのはめちゃくちゃ悔しいですけど、でもめちゃくちゃ楽しい試合でした」
水沼が楽しいと言ったのは今後、チームに落とし込める部分をはっきり感じられたからだ。それは横浜FMにとっての『伸びしろ』とも言い換えられるだろう。「どうやって攻めていくのか、どういう立ち位置をとって、こういう時にはどうやって動くのか。どこにパスを刺していくのか。相手をどうやって動かしていくのか」。ビルドアップの質の高さを目の当たりにした。
「そういうところは必ず次につながると感じたし、『ああ、こういうサッカーやりたいな』っていうふうにも思えた試合でした。僕らは今、Jリーグでは攻撃的なサッカーと言われていますけど、もっともっと上のレベルに行ける可能性を感じられました」
相手はまだシーズンインしたばかりで来日したのも3日前。コンディション面の問題は当然あったはずだ。とはいえ、その凄みは随所で発揮されていた。だからこそ、水沼にも多くの気づきがあったのだろう。
「それぞれの選手がチームの決まりごとを守りながら自分の特長を出してるというのが、すごい印象的でした。そういう意味で自分にとっては学ぶべきところがたくさんあった。それと、やれないことないなっていうのも同時に感じていた部分で。これはピッチに立たないとわからなかったこと」
チーム戦術の中でいかに個人の特長を出していくか。その点において欧州王者は何歩も先をいく。
今回の一戦は水沼自身にとって、そして横浜FMにとって、学びを得ると同時に進むべき道を示された、そんな試合になった。