上写真=復帰を果たし、攻守両面で存在感を示したキム・ジンヒョン(写真◎J.LEAGUE)
■2023年3月4日 J1第3節(@浦和駒場/観衆18,437人)
浦和 2−1 C大阪
得点:(浦)アレクサンダー・ショルツ、安居海渡
(C)オウンゴール
プレーしながら上げていくしかない
故障から復帰し、C大阪一筋15年目のシーズンがスタートした。クラブ最多出場記録の更新を続けるGKキム・ジンヒョンは、J1での357試合目を終えると、納得のいかないような顔でピッチを引き上げた。
「(ケガなく)無事に終わることができたのは良かったですけど、自分の感覚的にはまだ戻っていないです。プレーしながら上げていくしかないと思っています」
それでも、随所で先を読むセービングと丁寧なビルドアップでチームに安定感をもたらしていた。経験に裏打ちされたポジショニングの良さは抜群。何気なくシュートを正面でキャッチしていたが、予測能力の高さがあってこそ。さらに目を引いたのは、足元の技術。センターバックからバックパスを受けても一切慌てることなく、冷静にパスを散らした。状況に応じて、長短のパスを使い分けるなど、キックの種類も豊富。今季、初めてゴールマウスに入り、あらためて存在の大きさを再確認させた。
「チームメイトたちが良い立ち位置を取っているから、確実に味方に送ることができました。自分のプレースタイルを分かってくれているから」
チームの課題は、敵陣に入ってからの組み立て。崩しの工夫が足りなかった。左サイドの為田大貴から仕掛けて、先制のオウンゴールを誘発したものの、チャンスの数は決して多いとは言えなかった。最後尾から観察していたキム・ジンヒョンも冷静に指摘した。
「前半は良い時間帯もありましたが、後半途中からは距離感があまり良くなかったと思います。狙いであるニアゾーンを取りにいくのも単調になってしまった。低いラインでの組み立てが多く、もう少し改善したいところ。ただ、まだ3試合です。みんなで徹底していけば、これからはもっと良くなっていきます」
今季、新加入のレオ・セアラ、ジョルディ・クルークスは先発に名を連ね、目玉補強となった香川真司は途中出場。いずれもまだ完全にフィットしているとは言い難いものの、連係は少しずつ良くなっている。頼れる守護神は戻ってきた。『桜の開花』までは、もう少しの我慢か。
取材◎杉園昌之