Jリーグは11月7日、年間表彰式の『2022Jリーグアウォーズ』を開催した。サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」では、今季の受賞者にインタビューを実施。優秀監督賞を受賞したのは、サンフレッチェ広島のミヒャエル・スキッベ監督だ。就任1年目ながらチームを3冠を狙える位置にまで導き、悲願のカップタイトルに導いたドイツ人指揮官に、チームづくりの秘訣や指導哲学などを聞いた。

上写真=優秀監督賞を受賞したスキッベ監督。広島を3大タイトルすべて3位以内という好成績に導いた(写真◎J.LEAGUE)

■2022年Jリーグ優秀監督賞
ミヒャエル・スキッベ(サンフレッチェ広島)

 開幕前のキャンプはもちろん、シーズンが始まっても来日できない状況が続いたが、チーム合流後は優れた手腕を発揮。2015年のJ1優勝以降、タイトルから遠ざかっていた広島を、シーズン終盤まで3冠の可能性を残すほどの躍進に導いた。

 前線からの強烈なプレッシング、素早いパスワークを軸とした攻撃的なスタイルを植え付け、ルヴァンカップではクラブ悲願の初優勝。常に選手にポジティブな声を掛け、優れたモチベーターとしての顔も見せた指揮官が、日本での1年目を振り返る。

「クロスからのシュートに取り組んだ」

画像: 開幕までに来日できなかったハンディをものともせず、優れた手腕を発揮したスキッベ監督。日本での1年目を振り返った(写真◎J.LEAGUE)

開幕までに来日できなかったハンディをものともせず、優れた手腕を発揮したスキッベ監督。日本での1年目を振り返った(写真◎J.LEAGUE)

――優秀監督賞受賞、おめでとうございます。過去に同様の賞を受賞したことは?

スキッベ ユース年代の指導をしていたときに、同様のものを受賞したことはありますが、プロのクラブでは初めてです。聞いたときは驚いたと同時に、とてもうれしかったですね。自分たちのやってきたことが認められた、チーム全員でやってきたことが報われたと感じました。

――新型コロナウイルス感染症による入国制限の影響で来日がシーズン開幕後の3月1日になり、初めて直接指揮を執った試合は明治安田生命J1リーグ第3節でした。JリーグYBCルヴァンカップでは来日前、グループステージ2連勝スタートでしたが、リーグ戦では第5節まで3分け2敗の未勝利。当時のチームの課題は、どんなところにあったと思いますか。

スキッベ チャンスの数は相手よりも多く作れていましたが、それが勝利に結びついていませんでした。ですからシュート、特にクロスからのシュートの正確性の向上に重点的に取り組みました。

――確かにクロスからのシュート練習を、よく行なっていました。どんなところを意識させていたのですか。

スキッベ 最も重要なポイントはタイミングです。ただクロスを上げればいいというものではなく、クロスを上げるときに、どんなタイミングで入っていって、合わせればよいのか。それによってボックス内(ペナルティーエリア内)を、どのように支配していくかを意識させました。

――クロスからのシュート練習や、それに関する指示はシンプルなものだったと思いますが、第6節でリーグ戦初勝利を挙げてからは結果が出るようになっていきます。過去に率いていたチームでも、同じように働きかけていたのでしょうか。

スキッベ サッカーを難しく説明すると、選手は理解できなくなってしまいますから、より簡単に説明する、簡単な指示を出すことは以前から心がけています。その方が選手たちも分かりやすく、良い受け取り方ができるのではないでしょうか。

――その後は、練習でも試していないようなメンバーや布陣でリーグ戦に臨んだり、選手にこれまで経験したことがないポジションでプレーさせたりしました。とても大胆なチャレンジに見えましたが、スキッベ監督にとっては普通のことなのでしょうか。

スキッベ 選手が自分の100パーセントを、限界を超えていけるかどうかは、サッカーにおいて最も重要なことです。新しいポジションや布陣にチャレンジすることは、選手が自分の限界を超えるために必要なこと。それにチャレンジすることができたのではないかと思っています。

――広島の選手、日本人選手の良さは、どんなところだと思いますか。

スキッベ 非常に優秀な育成を受けていると感じています。技術面も、戦術面も優れていて、世界的にはあまり知られていないのかもしれませんが、自信を持っていい部分でしょう。また、さらに新しいものを吸収していこうという強い意思や、学ぶ姿勢を強く感じています。これは広島だけでなく、他のチームの選手にも感じていて、だからこそJリーグは上位から下位まで、実力が均衡しているのではないでしょうか。


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