上写真=鬼木達監督はケガ人も戻り全選手で練習に臨めることを喜んだ(写真◎J.LEAGUE)
「あきらめるとかあきらめないとかの問題ではなく」
さあ、最後の戦いだ。
J1最終節となる第34節。首位の横浜F・マリノスが勝ち点65で得失点差は33、2位の川崎フロンターレは勝ち点63で得失点差は22。得失点差で大きな差をつけられている川崎Fが優勝するには、現実的には自分たちがFC東京を下して勝ち点3を上積みし、横浜FMがヴィッセル神戸に敗れて勝ち点で上回るしかない。
川崎Fの鬼木達監督は、チームのみんなに気力が満ちていることを実感している。
「最後まで優勝争いができる喜びもありますが、ただ、それでもやっぱり目の前の試合に勝つために何ができるのかを突き詰めようという雰囲気があります。浮かれるわけでもなく、平常心とまではいかないかもしれないけれど、何かやってやろうという気がすごく全体に感じます」
公式戦の前としては最後の1週間で、大きいのは全員が揃ったこと。ケガ人も戻ってきて練習グラウンドに立ち、「2022年の川崎フロンターレ」としてラストマッチに向かうことができる。
「久しぶりにフィールドプレーヤーもキーパーも全員でトレーニングできたので、もちろんコンディションがまだまだの選手もいますけど、全員で戦えるんだと、最後に来てそういう雰囲気を感じることができました」
それも一つの巡り合わせだろう。
2019年に狙った3連覇は達成できなかった。2度目のチャレンジは成功するかどうか。あとは最終節のFC東京戦に勝って、横浜FMの結果を待つだけだ。
「3連覇にチャレンジして、難しさもわかっていました。簡単なシーズンを送れるとは思っていませんでした。だからむしろ、あきらめるとかあきらめないとかの問題ではなく、最初から覚悟は決まっていました。何とか、どうにか成し遂げようと」
奇跡は信じる者にしか訪れない、という鬼木監督のミーティングでの言葉が心に響いたと、多くの選手が証言している。
「意地もそうですしプライドもそうですけど、実感として、個人としてはあきらめさえしなければ、自分から放棄しなければ必ずチャンスは巡ってくる思いはあって、あとはそのことに気付けるかどうかだと思っています」
頭ではわかっていても、行動に移すのは難しい。それを選手たちに説いてきて、確かに実行に移してきた。だから、いまがある。
11月5日、奇跡は起こるか。