上写真=鬼木達監督は「自分が疑ったら、チームを勝利に導く力が発揮されない」(写真◎J.LEAGUE)
「他力であって他力ではない」
「楽しんでもらいたいですよね」
鬼木達監督は等々力陸上競技場に集まるすべての人に、そう呼びかける。10月29日は、川崎フロンターレが迎える2022年のホーム最終戦。ヴィッセル神戸を迎えて戦う。声出し応援が帰ってきて、本来あるべきスタジアムに戻りつつある。
「優勝争いの局面もありますけど、戻りつつある状況を楽しんでもらいたいですね。私たちは今季の集大成のゲームで、ホームで勝利を貪欲に求めていきます」
首位の横浜F・マリノスに勝ち点差で2まで詰め寄った。追いかける者の強みで、残り2試合も一気に勝利を奪うつもりだ。その原動力は、信じ続ける心。
「誰よりも信じ続けてきています。どんな状況になっても、苦しいと思われても、何かつながっていくパワーが出るという思いでやっています。信じる、というよりは、信じ続けることが自分の中で大事なこと。ぶれないことでいろいろな人が信じてくれて、それがパワーになるんです。だから、僕は大きくは変わっていません」
先制ゴールを奪えてはいたものの、柏レイソルと名古屋グランパスには追いつかれ、北海道コンサドーレ 札幌には逆転された。苦しかった9月から10月の3連戦の結果を「自分のせい」と一身に受け止めて、でも信じ続けた。
「自分が疑ったら、チームを勝利に導く力が発揮されないという思いが潜在的にあるんです。自分に言い聞かせているのかもしれないけれど、それがパワーになるんです」
いわば、王者の自己暗示。そうすれば、そのパワーが拡散して、もっと大きな力になっていくことを経験として知っている。2017年の初優勝を最終節の大逆転で決めたときもそうだった。
「17年のときも数字的には他力でしたけど、他力であって他力ではないというか、直接的な変化は起こせないけれど、いろいろなものや人を巻き込んで大きな力を見せつけることはできるかもしれません。だから、あきらめません」
ヴィッセル神戸とFC東京を倒して、そのときを待つ。