横浜F・マリノスが優勝を目前にして連敗を喫すると、誰が思っただろう。しかし、「現実なので受け止めないと」と話すのは岩田智輝だ。明治安田生命J1リーグで10月12日、ジュビロ磐田を相手に攻め続けながらもゴールは決まらず、逆にカウンターから失点。2試合連続の完封負けから、どう改善するべきなのか。

上写真=岩田智輝は「焦りはある」と認めながらも、「次の試合までにすり合わせる」(写真◎桜井ひとし)

■2022年10月12日 J1リーグ第27節(日産ス/20,493人)
横浜FM 0-1 磐田
得点者:(磐)古川陽介

「これが現実なので受け止めないと」

 自分たちが勝って、2位の川崎フロンターレが引き分け以下で優勝。2試合続けてそんな条件の王手を迎えたにもかかわらず、どちらも自分たちから負けてしまった。横浜F・マリノスがここへ来て今季初の連敗を喫して、3年ぶりの優勝はまたもお預けとなった。

 10月12日のジュビロ磐田戦は、攻めに攻めてシュートは15本。ところが、一つもゴールを割れない。8日のガンバ大阪戦と2試合連続で残留に必死なチームを相手に、いずれも無得点で敗れている。

「これが現実なので受け止めないといけない」

 そう認めるのは岩田智輝である。攻め続ける仲間の背中を、センターバックとして最後尾から押したが、どうしても崩しきれない。

「ボールを持ってはいますけど、相手のブロックを崩すところでうまくいっていない。もうちょっとアグレッシブに動かないといけないかなと思っています」

 どのポジションでも相手を上回る個の優位は明らかだったが、5バックと4枚のMFでブロックを固める磐田に手を焼いた。どこにボールを動かしてもスペースは消され、選手そのものの動きも硬直化していく。相手を引き出すために、あえて突っ込まずに引き込むような変化もなかった。どうすれば改善できるか。

「正直、わからないですね。これだけ引かれて、もう一回試合を見直して共通意識を持つことも大切です。ときにはマリノスのサッカーではないものを目指しがちですけど、最後まで貫くことが大事だと思います」

「焦りはありました。どうにかしてこじ開けなければいけない中で、強引さが足りなかったし、引かれた相手にどうするべきなのかをもう一度全員が見つめ直すべきですし、どうすれば点が取れるかは中で合わせていくしかない」

 だから、すべてを尽くして敗れたというよりは、まだできることは残っているという思いのほうが強い。

「もっと完成度を高くすれば、もっと多くチャンスを作れると思います。まだまだ伸びしろはあります」

 伸びしろには、自分自身の成長も含まれる。84分の失点シーンで、磐田の古川陽介がドリブルでカウンターを仕掛けてきたときに最初に対応したのが岩田だった。うまくペースを遅らせつつ、スピードで突破されない距離を保ちながら下がった。だが、そこから右サイドを経由して、中を割られた。ここに反省があるという。

「相手にボールが入った時点でボールを止めにいくか迷ってしまって、そこで後ろに下がってしまって失点につながりました。そのあとの対応も、もっとボールにプレッシャーにいっていれば相手も苦しくなったと思います」

 ずっと押し込みながら見せた一瞬の穴。それが勝負を分けた。

「90分を通してやることが圧倒的な存在になるために必要なので、一瞬のスキがないように自分もさらに成長すべきです」

 残りは2試合。2位の川崎フロンターレは勝ち点2差にまで迫ってきた。だが、明け渡すつもりはない。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


This article is a sponsored article by
''.