上写真=遠野大弥は名古屋戦では73分からピッチへ。消化不良だった分を柏戦にぶつける(写真◎J.LEAGUE)
「自信を持って言えることなんですけど」
川崎フロンターレは9月14日の名古屋グランパス戦で、先制しながら引き分けた。首位をゆく横浜F・マリノスが勝利を収め、残り6試合で勝ち点差が5に開く、手痛いドローだった。
遠野大弥は73分からピッチに入った。1-0でリードしている状況だったが、直後のCKで同点とされて「少し動揺した」と明かす。4-2-3-1にシフトして左サイドハーフに入り、「中を閉めて相手を外に押し出していく」指示を受けていたが、一瞬で同点とされたから、再び攻撃に軸足を置いた。
「押し込まれる展開が多かったので、もっと自分が前で推進力を持って背後のランニングを生かせたら良かったと思っています」
5-3-2の布陣で構える名古屋の堅陣を破るために、もっとかき回したかった。鬼木達監督も全体的に「タイミングよく背後に走る回数がかなり少なかった」ことを敗因の一つに挙げている。だからこそ、負けられない次の柏レイソル戦で「走るダイヤ」が急先鋒になる。
「前回、柏と戦ったときは自分はスタメンで出ることができて、自信につながるプレーはたくさんできたので、印象は悪くはないと思っています」
それは4月9日の第8節のことで、1-0で勝利を収めている。遠野は谷口彰悟の縦パスをハーフウェーライン付近に戻りながら左足でフリック、大きく左サイドへ送ると、受けたマルシーニョが中央へ、レアンドロ・ダミアンがゴール右に流し込んだ。決勝ゴールを導いたわけだ。ほかにもチームの7本のシュートのうち、一人で4本を放って攻撃をリードした。その好感触を再現するために生かすのが「脇坂泰斗」である。インサイドハーフのライバルであり先輩。真似をしたいところはたくさんある。
「ヤスくんの間で受けるターンや運ぶところを見ているんです。練習からヤスくんを見て、うまいなあと感じていて、自分に足りないものを持っているなと。だから自主練習ではディフェンダーをつけてターンの練習をしています」
そして、うなずきながら続ける。
「これは自信を持って言えることなんですけど、練習でやってきたことはウソをつかないと言いますか、意識するだけで周りが見えて変わってくるんです」
脇坂の武器であるターンからのフィニッシュを、遠野も会得しつつある。
「いまは自分がどのような位置にいたら足が振れるとか、どのような場面でどこにいたら点が取れるか、意識できるようになってきました」
名古屋戦のモヤモヤを晴らすためにも、スカッと一発、鋭く回って力強く蹴り込みたい。
「自分の良さを最大限に発揮することと、求められているのはやはり結果です。全員、優勝をあきらめていないので、チームに結果で貢献したいと思います」
名古屋戦から中2日と厳しい日程だが、元気印の遠野にはパワーがみなぎっている。