上写真=鬼木達監督が強調するのは、「自分たち次第」という基本中の基本(写真◎J.LEAGUE)
「あの地で勝つのは簡単ではない」
川崎フロンターレは新型コロナウイルス感染症の影響で2試合、台風8号の影響で1試合、それぞれ先送りになった。のちのち、過密日程を余儀なくされるものの、8月13日に予定されていた京都サンガF.C.戦がいったん中止になったことで、メリットもある。その3日前にセレッソ大阪とのルヴァンカップ準々決勝第2戦でアディショナルタイムに追いつかれて、敗退させられたショックをリセットできた。
「京都戦に向けて準備していたこともあったので、試合をやりたい思いもありました」とは、鬼木達監督。「でもやっぱり、フレッシュになると思うので、ポジティブにとらえています」と、心身の澱のようなものを排出する貴重な時間になった。
コロナ禍の非常事態と敗退のショックをリセットするほかに、もう一つ、このタイミングだからこその意味を明かす。
「セレッソ戦の敗退は残念ですが、(その間に行われたリーグ戦の)マリノス戦の前ぐらいからチームとして戦うことも、一人ひとりが目指すところも見せてくれている雰囲気があって、すごくいい状態だと感じていました。敗退は残念でショッキングだけれど、選手はもう引きずっていないし、僕としても信頼して、信用して送り出せる状況が続いています」
困難に直面して必死に対応することで、逆に生まれたものの価値が高まってきた。ちょうどそのタイミングでの小休止で、パワーを充填できた。
次の相手はアビスパ福岡。8月20日、アウェーでの対戦だ。昨年はここで敗れてリーグ無敗記録が30試合で途切れた。そのリベンジという意識はないというが、「もう1回、自分たちの頭をリセットしてフレッシュにして、チャレンジして乗り込んでいきます。そういう思いで戦わないと、あの地で勝つのは簡単ではないですから。覚悟を持って挑む場所です」と引き締める。
残りは12試合。「数字上での自力優勝はありませんが、一戦必勝で戦っていくことに変わりはありません」と肝を据える。
「ここからは自分たち次第だと思っています。一つひとつていねいに、強く戦っていくことによって必ずチームの力強さも見せていけます。試合が少なくなっていけばいくほど、メンタルが重要になってきます。自信を持って戦いたい、いや、戦い続けたいなと思います。それがすべてだと思っています」
今年は追う立場。でも、そのための準備は整えた。