8月7日、明治安田生命J1リーグ第24節で横浜F・マリノスとの激戦を2-1で制した川崎フロンターレ。山村和也は90分に登場、最初はFWとしてプレーしたが、ジェジエウと代わってDFに下がった。すると、その「FWジェジエウ」が決勝点。あきらめないことの大切さを改めて感じていた。

上写真=山村和也は短い時間でFWとDFをこなして勝利を手繰り寄せた(写真◎J.LEAGUE)

「相手が嫌だと思うことをしました」

 J1第24節の横浜F・マリノスとの激戦は、ジェジエウの90+9分の決勝ゴールでドラマティックな幕切れを迎えた。首位を相手に勝ちきった川崎フロンターレが、優勝への望みをつなぐことができたのは大きな収穫だった。

 だが、選手にとって、あるいはファン・サポーターにとって、そして山村和也にとって、もう一つ重要なことがあった。

「あきらめない姿勢は、僕だけではなくてチーム全体にあって、それが結果に結びつきました。最後まであきらめずに集中して戦うことの大切さを、改めて感じました」

 気迫あふれる試合、と表現してしまえばそれまでだが、実際にピッチで戦い抜いて、勝利を手にした選手にとって、その事実こそ、勝負の真理を深く刻むものだった。

 山村はこの試合、90分にピッチに登場している。レアンドロ・ダミアンに代わってFWへ。すでに4-4-2システムにシフトしていて、小林悠とともに最前線で並んだ。

「まずは前線で前からボールを取りにいくこと、そして点をしっかり決めにいくことを意識して入りました」

 川崎FではDFでのプレーがほとんどだが、過去にはセレッソ大阪でFWとして結果を残してきたキャリアがあるから、準備はできていた。

「どこで出るのかは、そのときの点差などで役割も変わりますけど、昨日は前で出る準備もしていましたし、後ろでアクシデントあったときの準備もしていました」

 その両方をイメージしながらの、いわば「二刀流」への備えだから、人の倍は目配りが必要になる。FWとして出ると、裏への飛び出しを繰り返した。終盤に入って最前線に立てば、やるべきことは一つ。

「守備の側からすると、終盤にかけて嫌なことは裏への抜け出しなんです。自分もやられたら嫌な気持ちになります。だから、相手が嫌だと思うことをしました」

 DFの心理は誰よりもわかっている。ただ、最後はセンターバックとして試合を終えている。センターバックのジェジエウが足をつったことで、動ける山村を守備に回し、傷んだジェジエウは無理に動かなくていい前線に置いて、失点のリスクを回避するためだ。

 これが、決勝ゴールにつながるのだから、不思議なものである。小林、家長昭博とつないで右サイドに運び、そこからのクロスを、前線に残っていたジェジエウがヘッドでたたいた。山村がいたからこそジェジエウをFWのポジションに残せたわけだから、「陰のアシスト」と言っていいかもしれない。

「最後まであきらめないこと」ともう一つ、大切なことがあった。「変わらないこと」だ。新型コロナウイルス感染症で陽性者が多数出たことで、苦しみながらの戦いが続いている。でも、そこで感情に波が立つとうまくいかなくなる。

「人数が足りなくていろいろ難しい状況でしたけど、チーム全体で日頃からいい準備をしていたので、誰が出てもいい試合ができる自信があります。これからはたくさん復帰してきて、また競争の中でしっかりいいパフォーマンスを維持して高め合っていければ、結果につながります。変わらずにいい準備をしていきます」


This article is a sponsored article by
''.