セレッソ大阪が6月9日、乾貴士との契約を双方合意の上で同日付で解除することを発表した。乾は4月5日の柏レイソル戦で交代を命じられた際にスタッフらに暴言を吐くなどして、厳しい処分が課されていた。解除後も練習に参加していなかった。

上写真=乾貴士が愛着のあるピンクのユニフォームを脱ぐことに(写真◎J.LEAGUE)

「乾選手には感謝の思いでいっぱいです」と森島社長

 乾は4月5日の柏レイソル戦で、62分に交代した際にスタッフに暴言を吐くなどして、クラブからは計8試合の公式戦出場停止と、5月14日までの全体練習参加を禁じられていた。処分が明ける5月16日から練習に合流する予定だったものの、その後も参加しない日々が続いていた。何度も話し合いを進めてきたものの、最終的に契約解除という結果に至った。

 乾はクラブを通してファン・サポーターへの謝罪を伝えた。

「ファン・サポーターの皆さん、突然のニュースで驚かせて申し訳ありません。今日に至るまで色々なことを考えてきましたが、一度セレッソとの関係をリセットすることがお互いにとっての良い選択という結論になりました。当初の自分の行動で、皆さんにご迷惑をおかけした点については反省してますし、関係する方々にも謝罪もさせていただきました。クラブからの処分の間にも様々な意見反応をいただく中で、なかなか練習に復帰できる状況が整わない日々が続いてしまいました。この期間色々なことを考えましたが、大好きなサッカーを続けていくために、今日の結論に至りました。ファン・サポーターの皆さん、これまでともに戦った選手・スタッフ、セレッソに関わる全ての人たちには感謝の思いでいっぱいです。僕はセレッソ大阪の選手ではなくなりますが、セレッソの選手としてこれまで全力でプレーしてきました。これからもセレッソ大阪を応援しています、これまでありがとうございました」

 森島寛晃社長も今回の経緯や苦渋の決断に至った心境を明かしている。

「いつもセレッソ大阪を応援いただきありがとうございます。セレッソ大阪は乾貴士選手を双方合意のもと、本日6月9日付で契約解除することとなりました。乾選手のチーム合流に向け、これまで話し合いを重ねてまいりましたが、 このような結果となり残念に思います。乾選手は2008年に期限付き移籍でセレッソ大阪の選手となって以来、今日に至るまで多大なる貢献をセレッソにもたらしてくれました。契約解除とはなりましたが、乾選手には感謝の思いでいっぱいです。今後の乾選手の活躍を心から願っております。最後に、ファン・サポーター、および関係者の皆様より、本件について多くのご意見を頂戴いたしました。ご心配をおかけしましたことを深くお詫びいたします」

 また、同日昼に森島社長が緊急で記者会見を開催。改めて苦しい胸の内を語っている。

「今回、彼が違反したことに関して和解をしたと以前に説明させていただきましたが、その後、戻ってくるところでの話し合いがまた始まっていくという形でした。サポーターに対してもこういう形で活躍を見せられないことが申し訳ないという気持ちも本人に伝えてもらいましたし、その彼の言葉を伝えさせていただきました」

 和解をしたものの、復帰までは至らなかった、という説明だった。

「双方の距離を縮められなかったというか、自分の行動でチームを乱すことがあって本人もいろいろ考えることがあっただろうし、チームもミーティングを重ねるなかで、戻るタイミングについてクラブがもう少し早く動けばという反省もあります。彼がまたやろうという思いにさせてあげられなかった」

 森島社長自身が背負った「8」を受け継いだ選手の退団に、何度も「残念」という言葉を繰り返していた。

「サポーターのみなさんも活躍を楽しみにしていましたので、こういう形になったのは残念です。もう1回、彼がセレッソの選手としてプレーするという形に持っていけなかったということで、そこは残念です」

 契約解除となったため、今後は乾はフリートランスファーで次の移籍先を探すこととなる。

(13時 森島寛晃社長の記者会見のコメントを追記しました)


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