上写真=青木拓矢がアルベル監督に求められているのは「落ち着き」(写真提供◎FC東京)
「僕の位置から特別に何かをすることは少ない」
FC東京はここまで8試合の公式戦を戦い、青木拓矢は出場停止となった1試合を除いて7試合すべてに出場している。「まだまだこれからだと思います」と控えめに自分を見つめるが、4バックの前に3人が立つミッドフィールドで、そのど真ん中に構える「ピボーテ」の役割を担う。
昨季は主に、中盤で2人が並ぶボランチの一角としてプレーしてきた。今季はここまで主に安部柊斗と松木玖生の生きの良いアタッカーをインサイドハーフに据え、その少し後ろで2人を、そして全体をコントロールしていく「見守り役」のイメージも強い。
「基本的には僕の位置から特別に何かをすることは少ないのかなと思っているので、チームを円滑にできる働きができればと意識してプレーしています」
この「何気なさ」が青木の真骨頂だろう。アルベル監督に求められているのも「バランスですかね。あとは落ち着きです」というから、まさに適任だ。
プレー面でもそうだ。「周りをよく見るようにしていますし、穴が開かないようにプレーすること」が最優先事項で、「インサイドハーフの選手がすごく動いてくれるのでやりやすさがありますし、彼らが前に出ていったあとの部分を考えてプレーしています」という。生きの良い2人が飛び出していけば、あとは「いろいろやることはありますけど、スペースを見ることや、あるいは僕が相手についていくか、そういうところの判断」を正しく下すことに心を砕いている。青木の「静」と安部と松木の「動」のコントラストが、このチームならではの快活さを生み出している。
4月6日はヴィッセル神戸をホームに迎える。松木が出場停止なのは残念だが、青木はポジション柄、世界の名手、アンドレス・イニエスタと真正面で対峙することが多くなりそうだ。
「試合に入ってみないとわからない部分がありますからね。ゴールに近い位置に来れば危険な選手なので、必ず誰か1人は対峙しなければいけないと思っています」
「まずは攻撃でも守備でも、自分たちがやりたいことをやることのほうに意識を強めています」
ここでも落ち着き払っている。チームが成長の道を歩んでいる確かな実感があるからだ。
「守備のときも攻撃のときも、つながっている、かな。全体がつながっている感じが出てきたと思います」
そのつながりの中心に、青木がいる。