上写真=山田寛人が王者川崎Fから2ゴール。大きな自信になる鮮やかな2発だった(写真◎J.LEAGUE)
■2022年4月2日 J1リーグ第6節(等々力/18,090人)
川崎F 1-4 C大阪
得点者:(川)マルシーニョ
(C)乾貴士2、山田寛人2
「日本を代表するストライカーに」
2-0のリードをさらに広げる2ゴール。山田寛人が王者撃退の主役の一人になった。
乾貴士が立て続けに2点を奪って迎えた36分、自身の1点目は冷静そのものだった。自陣で相手を制した加藤陸次樹が前へ送ると、山田は川崎Fの日本代表DF谷口彰悟の出足を逆利用して入れ替わり、GKチョン・ソンリョンとの1対1に持ち込んで、冷静に左足でゴール左に流し込んだ。
「うまく入れ替わって、後ろから相手が来るのはわかっていましたが、キーパーの位置は見えていました」
2点目は68分。相手のパスミスから中原輝が左に広げて、ジェアン・パトリッキが受けるとシンプルに裏へ。インサイドから原川力が走り抜けるのに合わせて山田はニアのエリアに走り込み、センタリングを右足でダイレクトフィニッシュ。ニアのトップコーナーに突き刺す鮮やかな一撃を見舞った。
「2点目は、いつもああいう形の練習ばかりしているので、感覚でニアの上に打てました」
そんな自信をこの試合でいち早く発揮したのはさらに前、13分の先制ゴールの場面だ。右サイドで加藤が谷口のボールをつつき、中原輝、加藤、山田とテンポ良くつないだ。左には乾。しかし、山田が選択したのはシュートだった。
「いままでなら、あそこでシュートを打たずにパスを出していたところでした。ああいうところがうまくいっていて、意識を変えたことで得点が生まれているのはうれしいですね」
シュートはスライディングしてきた山村和也の足に当たり、右ポストをたたいたところを乾が押し込んだ。
序盤はコンディションが整わずに、思い切り狙えなくて悩んだ時期もあったという。だが「アシストはしなくていい」というスタッフの言葉で、持ち前のシュートへの意欲を取り戻した。これで公式戦3試合連続ゴール。
小菊昭雄監督も温かく見守ってきた一人だ。
「高さ、早さ、うまさと、水準が高いですね。結果を出し続けることによって将来、日本を代表するストライカーになると思っています」
期待は大きい。王者から2ゴールを奪ったこの試合が、大きなきっかけになるかもしれない。
「まだ実感はないし、1試合2得点もいつぶりかというぐらい。でも、やることは変わらずゴールを意識して、たくさん点を取ることだけ考えて残りの試合もやっていきたい」
2019年3月10日、C大阪U-23の一員としてJ3のアスルクラロ沼津戦で決めて以来の「ダブル」。この勢いを「続けることが一番大事」と、山田自身はそのシュートのように冷静に見据えている。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE