3月18日の明治安田生命J1リーグ第5節で、サガン鳥栖は横浜F・マリノスと対戦したが、強雨強風の影響でサッカーにならない悪コンディション。しかも、中野伸哉はアクシデントによる緊急の今季初先発で、主戦場とは異なる右CBでの出場になったが、まったく動じるところを見せなかった。

上写真=中野伸哉は主戦場の左ではなく右でプレー、冷静に対応した(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月18日 J1リーグ第5節(ニッパツ/6,689人)
横浜FM 0-0 鳥栖
得点者:(横)なし
    (鳥)なし

「前にはっきり蹴ろう」

 今季初先発の中野伸哉に与えられたのは、3バックの右のポジションだった。昨季は左が主戦場だったから、景色が違った。しかし、動じない。

「アクシデントがあって僕が出ることになって、やることは球際では強く、どんどん攻撃参加することだったので、その部分を達成できてよかったと思います」

 川井健太監督も自信を持って対応したと、そのプレーぶりを評価する。

「インテリジェンスが高いですし、左でも右でも真ん中でも関係なくこなしてくれます。ビルドアップで変化を出したかったのですが、グラウンドコンディションが悪くてできませんでした。でも、そういう難しい中で(失点を)ゼロで抑えたのは評価できます」

 止まない雨と風で刻一刻と悪化していくピッチの状況に、選手たちはどう対応したのか。中野真は「つなぐのが難しかったので、前にはっきり蹴ろうとパギさん(朴一圭)やタシくん(田代雅也)、(小泉)慶くん、(福田)晃斗さんと、しっかりチームで声をかけてやれていました」と落ち着いていた。ウイングが大きく幅を取ってくる横浜F・マリノスの攻撃にも、持ち前の守備力を発揮。対面の小池裕太に対しても、「縦への仕掛けは分かっていたので、そこは対応しやすかった」と自由にさせなかった。緊急初先発、慣れない3バックの右、最悪のピッチコンディションという3つのイレギュラーにも落ち着き払っていた。

 年代別代表の経験も豊富で、昨年7月に17歳でプロ契約、今年は背番号も47から13に変わって、プロ2年目を過ごしている。今季はまだ出番は少ないが、5試合無敗の一員になっている。

「前からプレスにいって取りにいっていることが、無失点につながっていると思います」

 5試合でわずか2失点。堅守をさらに強固にするために、ここからアカデミー育ちの宝が勝負に出る。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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