FC東京は12日、明治安田生命J1リーグ第4節でサンフレッチェ広島と対戦し、2-1で勝利を飾った。相手の激しいプレスに遭って、苦しい戦いを強いられるなか、先制ゴールを決めたのがキャプテンの森重真人だった。

上写真=60分に先制ゴールを決めて笑顔を見せる森重真人(写真◎J.LEAGUE)

うまくボールが飛んでくれました

 苦しい前半だった。広島のハイプレスにはまり、ビルドアップがままならない。最終ラインから攻撃を組み立てられず、自陣でボールを失っては攻められ、難しい体勢で蹴り出しては拾われて連続攻撃を浴びた。

 だが、相手にペースを握られた試合開始から20分あまりを「我慢」してやり過ごすと、FC東京は次第に流れを引き寄せる。相手の圧力を受けるより早くロングボールを蹴ってプレスを空転させ、前向きの守備でセカンドボールを拾い、攻撃の形を作っていった。

 後半、メンバー交代とシステムチェンジ(4-3-3→4-2-3-1)でボールを保持率を高めたFC東京は、待望のゴールを手にした。決めたのはこの日、CBで先発し、広島の攻撃を水際で食い止めていた森重だった。

「前半からチャンスはあったんですが、それが決められなくて。後半もチャンスがあればと思っていたのですが、良いボールが来たので。ちょっと難しかったですけど、うまくボールが飛んでくれました」

 敵陣やや左サイドで得たFKの場面。三田啓貴の蹴ったボールをボックス内で相手DF佐々木翔と競り合いながら頭でとらえ、GKのいないコースにシュート。本人も振り返った通り難しいシュートだったが、苦しい展開の中で決めた価値あるゴールだった(60分)。

 その1分後に相手のミスを逃さず繰り出した速攻からアダイウトンが追加点を挙げてFC東京は2点のリードを奪う。その後、相手の反撃を1点に抑え、今季ホーム初戦をモノにした。

 しかし、試合後の森重はサポーターに「勝ち点3をプレゼントできたことはうれしい」としながらも、内容面についてはまだまだ改善の余地があり、チームとして発展途上にあると指摘した。

「苦しい展開でしたし、勝てたことは良かったんですけど、内容が伴っていなかった。まだまだやるべきことは多いと感じています」

 チームは今季からポジショナルプレーを志向している。だが、この日はうまく実践することができなかった。「立ち位置を変えるとか、自分たちのやってきたことにこだわり過ぎたかもしれない。もっと柔軟に自分たちでポジショニングを変えても良かったかなと」。状況に応じた判断や選択ができなかったと森重は反省の弁。

 昨年までの切り替えの速さと球際の強さを重視するスタイルから大きな転換を図るなか、この日は広島の積極守備の前に望むスタイルをほとんど出せなかった。ただ、アルベル監督と同様、森重キャプテンも新スタイルが一朝一夕で身につくものではないと理解している。

「勝ちながらチームが成長していくのがベスト。勝ち点3を取れたのはよかったですけど、自分たちでもっともっと試合内容をよくするんだということを頭に入れて(次に)準備していきたい」
 
 いま、何より大事なのはブレることなく継続していくこと。そのことがこそスタイル完成の近道になる。森重は、できたことできなかことをチームとしてしっかり整理し、最短距離を進みたいと話した。


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