上写真=アルベル監督は活動停止という困難にも、乗り越えてチームを強くすることを考える(写真◎小山真司)
「プレースタイルを確立して成長していく」
難局の中での再スタートだ。FC東京は2月19日以降、累計でトップチーム選手14人、同スタッフ5人が新型コロナウイルス感染症で陽性判定。2試合の中止と2月20日から26日まで7日間の活動停止を経て、27日にようやく再始動していた。
まずは3月2日のルヴァンカップ第2節アビスパ福岡戦が、いわば「2度目の開幕」となるが、まだベストメンバーがベストコンディションで臨むことはできない。その点はアルベル監督も認めるところだ。
「まずはアビスパ福岡戦とセレッソ大阪戦に向けて準備をしていますが、福岡戦ではかなり限られたメンバーで戦うことにはなります。新型コロナウイルス感染症で陽性判定を受けた選手の多くが戻って来られていないというのは頭に入れておかなければいけません。この試合は、選手のフィジカルコンディションを戻すという意味合いにもなると考えています」
陽性判定を受けていなくても、7日間の活動停止のあとに練習に臨むことができたのは、3日間。それでも戦いに臨む姿勢は毅然としている。
「もちろん勝負にこだわる姿勢は譲らないですし、自分たちのプレースタイルを確立して成長していくことにフォーカスしていくことは変わりません。ただ、福岡戦に関しては、リーグ戦に向けた再調整のような意味合いになってくると考えています」
J1の開幕戦では川崎フロンターレに0-1で敗れたものの、新しいスタイルのお披露目となり、しかも王者を相手に多くの時間で主導権を握ることになってポジティブな印象を残している。ピッチに立つ選手がその試合と同じかどうかはわからないが、誰が出てもチームとして「アルベル流」を積み上げていくことに変わりはない。
「選手たちはもちろんプレーに飢えている感じはしましたし、サッカーをもう一度楽しみたいという意欲に満ちあふれていました。さらに練習に対する姿勢もポジティブなものを感じ取っています」
芝生の上に立てる喜びを福岡戦、C大阪戦で披露することになりそうだ。
「これまでも言ってきましたが、このシーズンは難しいものになります。そして、今回の困難がさらにシーズンを難しくしたということは間違いありません。ただ、この困難を乗り越えることによって、さらに強いチームになって帰っていくことがめざすべきところだと思っています。ですから、我慢強くチームを見守っていただきたい」
サポーターにそう呼びかけたアルベル監督。「未来の東京のために、いま我々は全員で戦っています」と気持ちを込める一戦は、いつか未来から振り返って見たときに、大きな一歩として記憶されるだろう。