王者・川崎フロンターレがもがきながらも前に進んでいる。2月23日に横浜F・マリノスに大敗してから中2日の鹿島アントラーズ戦で、見事にリカバー。これぞフロンターレという戦いを見せてアウェーで完封勝利を収めた。谷口彰悟はこの間、「効率化」を図ってチームを立て直した。

上写真=谷口彰悟はキャプテンとして、守備の要としてチームを整えている(写真◎小山真司)

「絶対に苦しくなる時間が来る」

 2月23日、2-4横浜F・マリノス。

 川崎フロンターレのキャプテン、谷口彰悟は「ショッキングな敗戦」と表現した。4失点は2019年11月30日の第33節、同じ横浜FM戦(1-4)以来、逆転負けは2018年4月11日の第7節セレッソ大阪戦(1-2)以来。

 そこから中2日、アウェーで鹿島アントラーズと戦うタフなスケジュールだ。そこで見せたのは、見違えるように圧倒する川崎Fの堂々たるふるまいだった。

 谷口はキャプテンとして、感情のゆらぎを抑えるように心を砕いた。

「(大敗で)どこか感情的になりやすいところを抑えて、冷静に分析しないといけませんでした。そういうゲームこそ何が悪かったのか、もちろんすべてが悪いわけではないので、どこが良かったのか、それをきちんと整理して考えました。中2日しかないので大きく変化することはできない分、自信を持って次もやろうというのはみんなが思っていたことです」

 守備の要という立場では、ディフェンスのメカニズムを整備することに力を注いだ。

「改善点として、守備の部分でプレスのかけ方は整理しながら、無駄のないようにというか、中2日で絶対に苦しくなる時間が来ると思っていたので、ばらばらになると一番危険です。誰がどこをどう見るかは細かく合わせていかないと、という思いがありました」

 例えば、チャナティップだろう。大型移籍で話題になったMFが、新しいチームの独特なスタイルの中でもがいてきた。それが、谷口の言う「無駄のない」意識の中で、少しずつ守備の決まりを守った上で自分を出す勘どころをつかみかけてきた。後ろから見ていて谷口もそれを感じている。

「どうしたらいいだろうと思ってきたでしょうけど、日々のトレーニングでそれを減らしてすり合わせてやっています。チャナ自身も周りに動かされるのではなくて自分の考えた結果で動き出す、つまり能動的に動くことが増えてきていると後ろから見ていても思います。タイミングがだいぶ変わってきているので、毎試合成長しているなと」

 それは他の選手も同じこと。そうやって少しずつ、王者が新しい姿を見せ始めている。鹿島が後半に布陣に微調整を加えてきても落ち着いて対応し、完封で乗り切ったこともその一つかもしれない。J1の3連覇とAFCチャンピオンズリーグ制覇という大目標のために、足元をしっかり固める日々は続く。


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