上写真=ゴールを決めて絶叫するエウベル(写真◎小山真司)
「普通の勝利ではありません」
圧巻の働きぶりだった。1点を追う57分、左サイドに開いたマルコス・ジュニオールから送られたクロスに飛び込み、エウベルが打点の高いヘディングシュートで同点ゴールを叩き込んだ。登里享平の背後、つまりは死角からジャンプして相手に競らすことを許さないシュートだった。
さらにその1分後、今度は仲川輝人の逆転ゴールをアシストしてみせる。M・ジュニオールが右サイドに出したボールに対し、登里の後方から一気にスピードを上げてボールを収めると、そのまま右サイドを前進。キーパーが出られない場所にクロスを送り、ゴール前に詰めていた仲川のゴールをお膳立てした。
「マリノスの形が見える得点シーンでした。レオからボールをもらってバウンドしていたので、しっかりコントロールできました。われわれのウインガーはクロスする時にはゴール前にいると信じて上げました。ピンポイントで上げました」
1点目は自らがウイングからストライカーとなり、2点目をウイングの仕事を果たして逆サイドのウイングがストライカーとして振舞うアシストをした。そしてその両方の場面で、エウベルの速さが光った。川崎Fの守備陣を広げ、スペースを得た後半、持ち味を存分に示してみせた。
逆転から6分後、今度はシュートに対する強い意欲をピッチで示す。松原健とレオ・セアラが右サイドを攻略し、ボックス中央へボールを送ると、M・ジュニオールが後方に落とした。ゴールまで距離はあったが、エウベルは迷わず右足を振り抜いた。ボールは相手守備者に当たって方向が変わり、ゴールイン。2得点1アシストいう破格の活躍を披露し、チームを勝利に導いた。
「個人的に、今日のパフォーマンスはとても良かったと思います。どの選手でも2得点1アシストというような活躍でチームに貢献したいものです。今日はそれが出来ましたが、何よりリーグ戦初勝利を挙げられて良かったです」
「やっているサッカーは去年と変わりません。2、3人選手が抜けましたが、引き続きマリノスのサッカーやっています。ただ、今日の勝利はただ普通のチームに勝ったわけではありません。去年のチャンピオンチームと戦って得た勝利です。これを続ければ、チームとしてもっともっと成長できると思っています」
昨季からの積み上げてきたものを、ピッチで表現できたと胸を張ったエウベル。昨季王者に完勝した自信を胸に、今後も「得点とアシスト」でチームに貢献して「優勝したい」と語った。