上写真=大粒の雪が舞った2月21日の練習。川村は次の出場機会に向けて精力的にプレーした(写真◎石倉利英)
交代出場でJ1デビュー
川村は2月19日の明治安田生命J1リーグ開幕戦、ホームでのサガン鳥栖戦で73分から交代出場。これがJ1デビュー戦で、「紫のユニフォームを着て、エディオンスタジアム広島に立つことができた。やっと第一歩を踏み出せたと思います」と感慨深げに語った。
広島県出身で、2018年に広島ユースからトップチームに昇格した生え抜き。プロ1年目はJリーグYBCルヴァンカップで3試合に出場し、エディオンスタジアム広島でもプレーしたが、リーグ戦では出場機会をつかめなかった。翌19年から愛媛FCに3年間の期限付き移籍。今季4年ぶりに復帰し、開幕戦で出場機会を得た。
子どもの頃から観客として足を運び、あこがれていたスタジアムのピッチ。早く出場したいとの思いが実り、ついにJ1デビューの瞬間を迎えたが…。
「ピッチに足を踏み入れた瞬間、急に足が重くなったんです。重りがついたような感じ。リーグ戦は独特の雰囲気がありました」
苦笑いで振り返る重圧を感じながらも、0-0の均衡を破るべく懸命のプレーを見せた。後半アディショナルタイムには、相手に奪われたボールを瞬時に奪い返し、右サイドを走るMF柴﨑晃誠につないでチャンスの起点となったが、その後の動きに課題があるという。
ドリブルで進んだ柴﨑を後方からサポートしてバックパスを受け、MF柏好文につないだ。そこにDF野上結貴が攻め上がり、柏のパスを柴﨑がスルーして、野上がエリア内右サイドから左足でシュートを放ったが、クロスバーをかすめて惜しくも外れた。
野上は右利きだが、川村は左利き。同じ位置に走り込んでいれば、より狙いやすかったはずだ。「自分の良さはパスを出した後にもう一つ、あの位置(野上がシュートを打った位置)に入っていくところ」と振り返り、柏にパスを出した後に足を止めたことを「悔しいです」と反省した。
試合は0-0の引き分けに終わったが、守備時のボール奪取で手応えをつかみ、「チームの状況が良くなるし、自分の評価にもつながるので、もっと回数を増やしていきたい」と意気込む。2月23日のJリーグYBCルヴァンカップ、26日のJ1第2節と続く連戦の中で、チーム内での存在感を増していく決意を新たにしていた。
取材・写真◎石倉利英