上写真=先制点はC大阪の進藤亮佑がヘッドで記録した(写真◎J.LEAGUE)
■2022年2月19日 J1リーグ第1節(日産スタ/観衆13,737人)
横浜FM 2-2 C大阪
得点者:(横)仲川輝人、アンデルソン・ロペス
(C)進藤亮佑、清武弘嗣
・横浜FMメンバー:GK高丘陽平、DF松原健、岩田智輝、畠中槙之輔、小池龍太、MF喜田拓也、渡辺皓太、マルコス・ジュニオール(87分:藤田譲瑠チマ)、FW水沼宏太(66分:エウベル)、レオ・セアラ(66分:アンデルソン・ロペス)、仲川輝人(82分:西村拓真)
・C大阪メンバー:GKキム・ジンヒョン、DF松田陸、進藤亮佑、西尾隆矢、丸橋祐介(80分:山中亮輔)、MF清武弘嗣、奥埜博亮(83分:鈴木徳真)、原川力、乾貴士(69分:中原輝)、FWブルーノ・メンデス(69分:為田大貴)、加藤陸次樹(80分:北野颯太)
ポゼッションは横浜FM、セットプレーはC大阪
横浜FMにやや押し込まれていた時間帯だった。39分、自陣で奪ったボールを中央で受け取った乾は、ドリブルを開始。一人、また一人と敵をかわし、ダブルタッチで水沼のチェックを外すと、前方の加藤へボールを供給した。加藤がボックス内で打ったシュートは相手DFに当たってコーナーキックを獲得する。この右CKの場面で原川が蹴ったボールに進藤が合わせ、先制点を奪った。
ポイントの一つは、横浜FMにボールを握られる時間を耐え抜いたことだろう。18分に水沼にクロスを許し、レオ・セアラ、仲川に飛び込まれたが、わずかにタイミングがずれて事なきを得る。その後は4-4-2で構え、ブロックの間にボールをつながれても粘り強い守備で失点を回避した。
後半、先行を許した横浜FMはテンポを変えつつ、左右にボールを動かしてC大阪の守備セットを崩しにかかった。前半からサイド攻撃は効いていたが、相手を『動かす』意識を高めたようにも映る。56分、左から右へとボールを動かし、すきを逃さずに縦を突き、C大阪守備陣を慌てさせた。パスを受けたM・ジュニオールがボックス内で相手CB西尾にスライディングで倒されて転倒。PKを獲得した。
西尾の左足はボールに触っていたが、両足でM・ジュニオールの足を挟み込むような形になった。C大阪の選手たちは抗議したが、VARでも判定は覆らず。横浜FMがPKのチャンスを得た。だが、M・ジュニオールのキックを守護神キム・ジンヒョンが読み切ってストップ。1-0のまま試合は続くことになった。
横浜FMはサイドに張ってC大阪守備陣を広げつつ、中。中でボールを動かして外へと展開し、ゴールへの道筋を探っていく。対するC大阪もDFとMFの2ラインでしっかり対応。横浜FMの攻撃にC大阪がリズムよく守る流れが続いた。
そのリズムを分断したのが、横浜FMの新戦力だった。中国の武漢から2月に加入したばかりのFWアンデルソン・ロペスが突破口を開く。まだ万全なコンディションと予想されたが、66分にレオ・セオラに代わってピッチに入ってから3分後。ボックス右前でボールを持つと強引に仕掛けて前進すると、C大阪守備陣の数はそろっていたが、右からクロスを通し、フリーで待っていた仲川のゴールをアシストしてみせた。
同点に追いついて以降は、ゲームは完全に横浜FMのペースになった。78分にはまたしてもA・ロペスが輝きを放つ。今度はゴール前の混戦の中、こぼれ球を見逃さずに蹴り込み、ゴール。進藤に当たってシュートコースが変わったのはラッキーだったが、その場にいてシュートを放ったのはさすがだった。
選手交代が当たって試合終盤に2-1と逆転し、横浜FMが流れに乗ったかと思われた。しかし、横浜FM対C大阪のドラマはここで終わりではなかった。アディショナルタイムに、もうひと展開、待っていた。失点後から攻撃の圧力を強めたC大阪は試合終了間際に左CKを得た。原が蹴ったインスイングのボールをニアサイドで清武がヘッド。先制点に続いてセットプレーからゴールをもぎ取ってみせた。
試合を通じてボールを握ったのは横浜FMだった。多彩にボールを動かし、アグレッシブな姿勢もピッチで表現した。自然、チャンスの数は多かったが、勝ち切ることは出来なかった。一方でC大阪は劣勢の時間は長かったものの、セットプレーから2ゴールを奪い、最後の最後に追いついてアウェーで勝ち点1を獲得した。
「良いサッカーがやることができたと思っています」と横浜FMのケヴィン・マスカット監督は話し、「相手の攻撃に対して良い守備から良い攻撃につなげるという、準備した形はいくつか見せられた」とC大阪の小菊監督はコメント。試合後の両監督はまずポジティブな面にフォーカスし、課題にもしっかり向き合っていくと強調。開幕戦は、両チームともに次につながる一戦になった。