上写真=山下敬大は昨年、鳥栖で届かなかった2ケタゴールを目標に戦う(写真提供◎FC東京)
「考えれば考えるほど悔しい」
山下敬大にとって新鮮な毎日が続いている。サガン鳥栖から移ってきたFC東京は、山下にとって新チームであるのと同時に、アルベル監督を迎えて堅守速攻からポジショナルプレーに転換しようとしているところで、クラブの経営体制も変わった。何もかもが新しい。
「アルベル監督はポジショナルプレーの印象があって、すごく自分に合うサッカーだと思って来たんです。実際にプレーしてみて、去年まで鳥栖でやっていたポジショナルサッカーのやり方や切り替えの部分で似ている部分はありました。でも、下から組み立てていく形や守備での立ち位置が変わってくるので、みんなが毎日落とし込んでいるところです」
いまは、アルベル流を理解して自分に馴染ませる時期。変革の場所に立つ難しさも感じながら、理解度が高まる実感に包まれているようだ。
「分からないことは素直に聞いていますし、選手同士でもコミュニケーションが取れています。もちろん、その中でトライしてエラーも多く起きていて、精度の部分ではトライ・アンド・エラーをどんどん起こしながらよりいいものにしていければいいと思っています」
あえてエラーを起こす時期だから、焦りはない。鳥栖のスタイルとは細かい部分で異なっていて、微調整が必要だからでもある。
「ビルドアップのところでボールが前に来なければ、シュートチャンスは減ってしまいます。現段階ではどう組み立てていくのか、どうボールを前に持っていくのか、どうはがしていくのかについてトライしているので、突き詰めないといけないところです。そこからゴールを決めるところではクオリティーを出さなければいけないですが、いまはチーム全体でどうやって前進していくのかについて取り組んでいます」
アルベル監督も、形が見えてくるまでは最低6カ月の時間が必要であると明言している。その完成形を見据えると、楽しみしかない。
「ゴールが増える感触はもちろんあります。アルベル監督が求めていることを選手が遂行できれば、ボールを握る時間が多くなって、そうすればシュートチャンスが増えてくると思います。そのときに、自分たち前線の選手が仕留められるか、より多くのゴール取れるかにかかってきますから、個人としてはそこにこだわっていきたい」
昨季は鳥栖で9ゴール。「夏までに9点決めたのに、ケガもあって2ケタを達成できず、考えれば考えるほど悔しい」というのが正直な思いだ。だから「去年の数字を超えたい」と目標はクリアだ。
「不安はないというか、楽しみな気持ちが大きくて、強力な外国籍な選手が多いですし、クオリティーも得点能力も非常に高いので、チーム内でいい競争ができると思っています。自分の成長につながると思うし、切磋琢磨してレギュラーを勝ち取っていきたい」
強い気持ちで開幕のピッチに立つつもりだ。