上写真=森重真人は初日から笑顔がこぼれる。新しいシーズンへの期待が高まる(写真提供◎FC東京)
「ボールを保持するサッカーは楽しみ」
1月16日はFC東京にとって、いわば「元日」になった。小平の練習グラウンドに抽選で集まった100人のファン・サポーターを前にして、トレーニングがスタートした。IT大手のミクシィが経営権を握り、アルベル監督を迎えて新しいスタイルを構築するという「新FC東京元年」の初日を無事に迎えた。
「クラブとしても大きく変わろうとしていますが、選手はピッチでどれだけ表現できるかに尽きます。自分たちが集中して、会社は会社で新しいことにチャレンジすると思います。FC東京としての新しいチャレンジの年として、ポジティブに受け止めて楽しく厳しくやっていくつもりです」
17日から沖縄キャンプに入るため、顔合わせと軽く体を動かす初日となったが、心に楽しみがせり上がってくるばかりだという。
「ポジショナルプレーを志向する監督ということは理解しています。それをどう表現してどう結果に結びつけるか。これからどんどんプレーする中で理解が深まると思っています」
「新しいサッカーするということでボールを保持するサッカーは楽しみなので、できるだけ早くチームとして表現できれば楽しいサッカーになります」
アルベル監督は新体制会見の場で、選手の理解が進むのに6カ月が必要だとして、焦らず一歩ずつ、を強調している。それを少しでも早めるためにはキャンプが重要な意味を持ってくるが、センターバックとしての役割はどんどん増えていくことになる。間違いないのは、ボールに触る回数が飛躍的に伸びることだ。
昨季まで指揮を執っていたアルビレックス新潟で、センターバックを務めていた千葉和彦、舞行龍ジェームズと森重真人の2021シーズンのデータを一例として並べてみる。
千葉 | 舞行龍 | 森重 | |
1試合平均プレー数 | 100.8 | 93 | 51.8 |
1試合平均自陣パス数 | 80.3 | 65.2 | 33.7 |
J2とJ1での違いは考慮していないから単純比較はできないが、それでも圧倒的な違いがあることがわかるだろう。アルベル監督のスタイルでは、センターバックがボールに関与する機会が驚くほど増えるのだ。なお、千葉の数値はどちらもリーグ1位、舞行龍の数値は前者が3位、後者が4位だった。
センターバックとして森重がボールを扱う技術は、日本でもトップクラスだ。だから、新しいフットボールで最も輝く一人が、この背番号3のベテランセンターバックになるはずなのだ。
「まだあまり多くの(新潟の)試合を見ていないので、現段階ではなんとも言えないですね」
初日だから当の森重は慎重で、キャンプでしっかり情報を取り込むつもりだ。
「早くキャンプでどういったことが求められるかを見極めて理解して表現したいと思っています」
このオフにセンターバックでコンビを組んできた渡辺剛がベルギーのKVコルトレイクに移籍して、木本恭生、エンリケ・トレヴィザンが青赤に加わった。
「毎年新しく入ってくるセンターバックを楽しみにしていますし、彼らに負けたくないと思いながらやってきたので今年も楽しみです」
ポジション争いから始まるのは、毎年のこと。でも、「新しいことにチャレンジするのはいつも楽しい」と表情は明るい。
始まりの地・沖縄へ、いよいよ17日に乗り込む。