2021明治安田生命J1リーグも12月4日に最終節を迎える。今年もコロナ禍で難しいシーズンだったが、FC東京が最後に戦うのはアビスパ福岡戦。ホームでシーズンを終えられるだけに、「ファン・サポーターに喜んでもらえるゲームを」と高萩洋次郎も意気込んでいる。

上写真=高萩洋次郎は古巣広島戦で逆転勝利に貢献。「いいゲームにつながった」と実感を込めた(写真提供◎FC東京)

「新しい監督のために」

 森下申一監督に初勝利をプレゼントしたのは、采配を振るってから2試合目の第37節サンフレッチェ広島戦だった。アウェーで先制されるスタートだったが、アダイウトンと紺野和也のゴールで逆転勝利。「全員が一つになって90分間、勝利のために戦ったのが、勝利に、いいゲームにつながったと思います」と高萩洋次郎も古巣相手の白星に手応えを感じていた。

「監督自身も喜んでいましたし、ホッとしたんじゃないかと思います」と、長谷川健太前監督の辞任という難局でチームを引き受けた森下監督の様子を見ていた。「新しい監督のために、チームのためにとまとまった雰囲気になりました」と勝利をかみ締めた。

 出場したメンバーには、さまざまな思いがあったはずだ。内田宅哉、中村帆高は長期の負傷離脱からの復帰戦になった。決勝点で勝利をもぎ取った紺野も、負傷からの復帰後、公式戦3試合目での初ゴールだ。波多野豪は横浜F・マリノス戦でミスを多発して0-8の大敗をもたらしてしまって、それ以来、2試合ぶりの出場だった。品田愛斗も同じ試合で失点を重ねたことで、6月以来の先発だったのにたった28分で交代させられていた。それぞれの思いがピッチに投影された。

 ただ、高萩は「いつもどおりで気にしていなかったですね」と笑う。それぞれの思いが強すぎて余計な枷になるようなことはなく、チームのパワーに還元できたことの証左ではないだろうか。

 その広島戦で、高萩の総走行距離は11.690kmだった。渡邊凌磨の13.031km、青木拓矢の12.671kmに次いでチームで3番目にたくさん走った。走るだけではなく、たくさんボールに絡んで、攻撃を形作っていった。

「そういうプレーをするために毎試合準備しているので、僕にとっては普通で当たり前のことです。それとチーム戦術とか誰が出るかというのはまた別の話なのですが、この1年間、ずっといい準備をしてきて、前節ではそういうプレーができました。次にどうなるかはわからないけれど、またそういうプレーができる準備はしていきたい」

 今季、自身が戦ったゲームで印象に残ったと明かしたのは、ルヴァンカップ準決勝第2戦の名古屋グランパス戦。その試合もそうだった。

「今シーズンは個人としてもチームとしても、なかなか思い描いていたような結果にならなかったですが、印象に残っている試合はルヴァンカップ準決勝のホームの試合で、そこでもうひと踏ん張りしたかったという思いがあります」

 第1戦で敗れたあとのホームゲームで、強い気持ちのこもった90分。勝ちきれなかったものの、最後まで追い詰めた。うまくて戦えて走れる選手の面目躍如だった。

 そんな2021シーズンも残すは1試合。

「最終戦をホームでできるので、ファン・サポーターの皆さんの前で責任感を持ってプレーして勝利したいという思いがある、それだけです。見に来ていただける方たちに楽しんでいただけるようなプレーをしたいです」

 12月4日14時キックオフのゲーム、相手はアビスパ福岡だ。今季、リーグ戦では4つのアシストを記録しているが、無得点。最後に自らのゴールでスタンドを笑顔で埋め尽くしてほしい。


This article is a sponsored article by
''.