明治安田生命J1リーグでFC東京が「再スタート」を切る。前節の0-8という大敗で長谷川健太監督が辞任したため、11月20日の第36節、徳島ヴォルティスとのホームゲームが後任の森下申一監督の初陣となる。残留をかけて挑んでくる相手のパワーをひっくり返して、大敗からの逆襲を狙う。

上写真=急きょ監督を引き受けることになった森下申一監督。徳島戦が初陣だ(写真提供◎FC東京)

「確実に信頼できる選手を送り出す」

 11月6日、横浜F・マリノス戦での0-8という悲劇的な敗戦から、FC東京は大きく動いた。長谷川健太監督の辞任と、森下申一GKコーチの今季いっぱいの、つまり残り3試合の監督就任だ。

 森下監督が臨む初陣は、11月20日のホーム、徳島ヴォルティス戦である。大敗のあとの再スタートで、相手は残留をかけて勝ち点を奪いに来る。難局だ。でも、だからこそ「チームが一つになることが大事」とフォーカスしやすい面もある。

 2週間のブレイクでは、8失点を喫した守備の立て直しが急務だった。GKコーチとして培った最後尾からの視点が生きる。

「横の間隔を縮めないとスルーパスが入ってしまいます。そうなると形勢不利になるので、中を閉めようと。縦と横を閉めたところから攻撃に移ろうということで、守備のことをやってきたところです」

 まずは横幅の距離感を短くしてタイトに守るところがスタート。前後の間隔も一度引き締めておいてから、奪って一気に出ていく、というバネのようなイメージだろうか。難しいのは、コンパクトにパッケージする陣形をどの場所に築くかだろう。失点を恐れるばかりに低い位置に設定すれば押し込まれ続け、攻撃に出ていくのにより一層のパワーが必要になる。強気にハイプレスを仕掛ければ、背後にスペースができて失点のリスクは高まる。そこに、前回の大量失点からのメンタル面のリカバー具合も関係してくる。攻めたい前線、守りたい最終ラインという二極化が起これば、中盤でスペースを与えて、ボールを動かしてくる徳島の持ち味を引き出すことになってしまう。

「フォワードの足が残っていれば前線からプレスをかければいいと思っています。後ろがついていけなければつないでくる相手の思うツボなので、タイミングはすごく大事です」

 それが最初のステップ。パワーがあれば積極的に出ていくが、前後の連動は欠かせない。

「徳島は後ろのビルドアップのレベルがJの中でも高く、そこにずっとプレスをかけ続けるのは無理なので、ブロックを下げざるを得ないところもあります。その場合でも、前の選手が限定をしっかりかけて出どころを抑えることをやりたい」

 相手がはがしてくるような流れになれば、しっかりと構える。だが、ただ攻撃を受けるのではなくて、追い込んでいく作業は欠かさない。

「それでも振られることはあると思いますが、そのときにはしっかり戻るようにと伝えています。最後はクロス対応になりますが、そこはしっかりできますし、セカンドボールを拾って攻撃するつもりです」

 この3つのサイクルをていねいにこなすことで「それを繰り返すと自分たちの時間ができます。自分たちには攻撃の質があるので、そこで仕留められれば」と速攻を生かすことができる。

 戦い方のデザインは、どの選手をどこに配置するかで決定していく。スクランブルで監督交代となると、メンバーをドラスティックに変えてくるケースもあるが、森下監督の場合はどうだろう。

「驚くようなことはないと思いますが、確実に信頼できる選手を送り出して、90分の中で選手が結果を残す陣形を選ぶつもりです。しっかり責任を果たしてくれると思っています」

 信頼があれば、驚きはいらない。


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