上写真=脇坂泰斗(右)は夏に移籍した田中碧のユニフォームを、旗手怜央は同じく三笘薫のユニフォームを着用してセレモニーに参加した(写真◎小山真司)
結果に表れてすごくうれしい
「一番はホッとしているのが強いです。つらい時期というか、チームとしてなかなか結果が出ない時期もありましたし、少なからず首位にずっと立っているプレッシャーを感じながらやってきたんで。それをチームでは『楽しさ』に変えてやろうと話していた。こういう結果がまず出たときにホッとした気持ちがありました」
優勝直後の取材で、脇坂は達成感について聞かれて、こう答えた。
重圧がなかったと言ったらウソになる。2節で首位に立つと、以降は1度も順位を下げることなく、J1リーグを走り切った。はた目には盤石の優勝とも映るが、その実、チームには苦しい時期もあったという。
今夏、中盤の柱だった田中碧がドイツのデュセルドルフに移籍し、前線の核だった三笘薫もベルギーのユニオンへ渡った。2人が去ったあと、リーグ中断明け直後の試合で引き分けが続き(柏、広島)、福岡に屈してしまう。そして9月14日には今季の目標の一つに掲げていたACLでラウンド16で敗退(蔚山にPK負け)。脇坂が言う「つらい時期」だった。
シーズンを戦い抜くために積み上げてきた2021モデルは選手が移籍したこともあり、途中で修正を余儀なくされた。その変化に適応するにはやはり時間が必要だったが、チームは戦いながら力を高めていった。今季から副キャプテンを務める脇坂もそのために心を砕いた一人だ。本人は「副キャプテンとして何かやるとういうのはなくて、そういう必要がないくらいまとまりのあるチーム」とコメントしたが、そのプレーの一つ一つから覚悟を感じたものだ。選手が抜けてチーム力が下がったと言われることは、出て行った選手に責任を感じさせる。もちろん残った選手にも何より悔しい言葉。だかえらこそチームには、脇坂には連覇達成が必要だった。だからこそ「ホッとした」のだろう。
「まだリーグ戦は試合を残してますし、天皇杯もあるんですけど、4試合残した形で優勝できて、開幕当初から積み上げてきたものが、優勝という結果に表れてすごくうれしい」
わずか1敗で連覇達成。最強フロンターレの時代は今季も継続されたが、脇坂にとっては昨季とはまた違う優勝の味だろう。副将として、主力として、チームを勝たせることにより強い思いと責任を持ち、勝ち取った栄冠だからである。