上写真=中村拓海は4試合連続フル出場中。直近の鹿島戦ではアシストも記録して、自慢の攻撃力が生きている(写真提供◎FC東京)
決めればプロ初ゴール!
今季のFC東京ではサイドバックに負傷者が続出した。右サイドバックの一番手だった中村帆高に始まり、MFからコンバートされた内田宅哉、成長著しいバングーナガンデ佳史扶、夏に移籍してきた鈴木準弥、左右のサイドバックをこなした小川諒也、センターバックもこなせる岡崎慎が相次いでピッチを離れた。
そんな中で中村拓海は常にコンディションを維持してきた。終盤に来て出番を増やし、J1とルヴァンカップ準決勝の4試合で続けてフル出場を果たしている。しかも、川崎フロンターレ、名古屋グランパスと2試合、鹿島アントラーズと、Jリーグを彩る強豪との連戦。その攻撃力が生きて、第33節の鹿島戦では渡邊凌磨のゴールをアシストするなど、堂々と渡り合った。
そのアシストは左からの長友佑都のクロスを逆サイドで受けて、中央に送ったもの。サイドバックからサイドバックへ、左右に大きく揺さぶったものだった。試合後には「これをもっと早くできればよかったというのが一番の思いですけど、アシストできたことはポジティブにとらえて続けられるようにがんばります」と振り返った。残りは5試合、まだまだアシストの機会はあるはずだ。
右サイドをもっと使ってくれ、の思いもある。
「左サイドにボールがあっても相手のプレスが強いと、ヘッドダウンしてしまうシーンが多くて右を見ることができない状況が続いていたと思います。そこは練習でもっとみんなで高めあって、プレッシャーが強い中で失わない努力をしないといけないと思いました」
鹿島戦のあとに、顔を上げて右を見てくれれば、自分がいる、という意思を示した。
そのサイドバックに、中村帆が帰ってくる。4月に右膝半月板損傷により手術したが、すでに練習に合流している。左右両方をこなす器用さはチームの助けになる。長友と3人でポジションを争うことになる。
「ケガしている期間が長かったので、復帰できたのはポジティブなことだと思います。でも、戻ってきたからといって、自分も簡単に負けちゃいけない。そこはお互いに切磋琢磨できればと思っています」
高め合う仲間とのプレーも、今季は残り5試合。
「残り5試合で何も優勝できるタイトルもないですけど、見に来てくださる方に勝利を届けたいと思っています」
それはまず、次のは清水エスパルスとのホームゲームで見せたい。
「エスパルスは攻撃的なチームだと思っています。だから、奪ったあとの1本目のパスを失わなければ、ゴールまで行けると思っています」
鹿島戦ではアシストの直前に、同じく長友のクロスから強烈なボレーシュートを放っている。わずかに外れて「決めなければいけなかった」と悔やんだが、ゴールには近づいている。決めれば、プロ初ゴールだ。