上写真=東口順昭が試合前に西川周作と旧交を温める。元日本代表同士の勝負は、この日は引き分け(写真◎J.LEAGUE)
■2021年10月16日 明治安田生命J1リーグ第32節(@埼玉/観衆10,233人)
浦和 1-1 G大阪
得点者:(浦)江坂 任
(G)パトリック
「良い勝ち点だと思います」
東口順昭がいなければ、負けていた。
0-0のまま進んだアディショナルタイム、VARチェックから清水勇人主審のオンフィールドレビューを経て、PKを献上、90+1分に江坂任に決められた。しかし、直後のキックオフから逆にPKをもぎ取って、パトリックが90+4分に確実に決めて同点に。だが、ここで終わりにはならなかった。
90+6分、左からカットインしてきた小泉佳穂が無回転の左足ミドルを突き刺しにきた。しかしこれは、東口が両手でパンチングして防いだ。その1分後だ。左から右に展開され、中央で西大伍のシュートを岩波拓也がフリック、中央の至近距離で田中達也がフリーで受けた。やられた、と誰もが思った次の瞬間に、田中が蹴り出したボールは東口の手の中にあった。
「(ゴール前が)ゴチャゴチャしていて、ボールに食らいつくのに必死だったので状況はよく分からないですけど、最終的に自分の懐に入ったので良かったと思います」
ゴール前は混戦で、そこをボールがすり抜けてきた一瞬の勝負。まるでボールのほうから懐に収まりに来たように見えるほどのスーパーセーブだった。
終盤に慌ただしくなったが、浦和に圧倒的に攻められながら我慢に我慢を重ねて、ギリギリまで浦和に得点を許さなかったからこそでもある。江坂任の強烈な左足シュートに反応して弾いた45分や、汰木康也との1対1を制した60分など、強力なアタックに何度も立ちはだかった。
「向こうの立ち位置の取り方がうまくて、けっこう右サイドの裏を突かれていたので、高尾(瑠)が出るところの塩梅を、倉田(秋)とセンターバックとで声をかけながら一番危ないところを守ろうという形では修正できたのかなと」
前半は特に右サイドを次々に破られてピンチを迎えるが、ここを乗り切ったことで、守備からリズムを作るというゲームプランを進めることができた。
「終盤の失点から追いついたので、良い勝ち点だと思います」
危うく「手土産」なしに大阪に戻るところだったが、スーパーセーブでつかみ取った最高の勝ち点1。これを無駄にはしない。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE