上写真＝前田大然は2試合連続ゴール。仲川輝人のパスに信じて走り込んだ（写真◎J.LEAGUE）
■2021年10月1日 明治安田生命J1リーグ第31節（＠レモンS/観衆5,190人）
湘南 0-1 横浜FM
得点者：（横）前田大然
「守り切ったからこそ自分たちにゴールがきました」
思うように攻められない。前半の横浜F・マリノスは苦しんでいた。湘南ベルマーレが守備に入ると5-4-1のブロックを組んできてパスのルートを消されたことも理由の一つだが、少しずつパスがずれていって、自分たちでリズムを手放した。
前半で唯一と言ってよさそうなチャンスは37分。レオ・セアラのスルーパスで左から抜け出した前田大然が、体を開いて右足の前にボールを置いてフィニッシュ、のその直前に杉岡大暉にスライディングでクリアされた。
左ウイングの前田は一時、右のエウベルとポジションを入れ替えるなど工夫をこらしたが、有効な打開策が見つからないまま後半を迎えた。54分には扇原貴宏のスルーパスで左サイドに抜け出して中央へ。これを天野純が得意の左足でダイレクトで狙うのだが、ミートせずにゴールを割れない。「難しい試合でした。湘南が良いサッカーをしたのも、自分たちがバタバタしたのも事実です」と前田。もどかしい展開が続く中、ケヴィン・マスカット監督は64分に3人を同時交代。これが効いた。
エウベル、レオ・セアラ、天野に代わって、仲川輝人、杉本健勇、マルコス・ジュニオールがピッチへ。相手も足が止まり始めた時間帯に、攻撃にパワーをかけて一気に形成が逆転した。2分後に早くも実を結ぶ。
右サイド深くにこぼれたボールを仲川が追いかけて奪うと、ゴールライン際まで運んで中を見る。前田は猛然とゴール前に駆け込んで、仲川のパスに左足を伸ばしてゴールに流し込んだ。ついに先制だ。
「信じて（中に）入りました。（仲川輝人が）一拍あけたところで相手が止まりました。動いた選手にボールが来ると思っていますし、たまたま自分のところにボールがきました」
たまたま、とは謙遜だろう。「相手とうまく駆け引きできていると思います」と振り返ったのは、ゴール前の入り方のところ。逆サイドから走ってきた前田は杉本と入れ替わるように中央にダッシュしながら、仲川に呼応するように一度止まることで、自分の前にボールを呼び込む場所を作った。そして、ラストパスに合わせて鋭く体を反応させた。ゴール前で優位性を獲得するためのランニングのテクニックである。
これで17ゴール目となり、得点ランキングで2位のレアンドロ・ダミアン（川崎フロンターレ）に2ゴール差をつけてトップだ。だが、この試合に限っては、タイトな守備を勝因に挙げた。次々にゴールに迫る湘南の攻撃を抑え込んで、5試合ぶりの無失点で乗り切ったからだ。
「最近は先に失点をしてしまっていましたし、逆転しても勝てない試合がありました。相手にチャンスがあった中、守り切ったからこそ自分たちにゴールがきました。難しい試合でも、いかに我慢し、内容が悪い中でも勝ち試合を作っていかないと優勝は厳しい。こういう戦いもしていかなくてはいけません」
前田個人としては、これで2試合連続ゴールで、東京オリンピック以降の出場10試合で7ゴールと好調は続いている。残り7試合で首位の川崎フロンターレと9ポイント差。まだまだ食らいついていく。
写真◎J.LEAGUE
