上写真=舘幸希は7月3日以来の先発出場で、最後まで戦い抜いた(写真◎小山真司)
■2021年9月26日 明治安田生命J1リーグ第30節(@等々力/観衆4,897人)
川崎F 2-1 湘南
得点者:(川)旗手怜央、知念慶
(湘)田中聡
「もっともっと前へ前へと」
7月3日、J1第21節のヴィッセル神戸戦以来の先発出場だった。その間も交代で2試合に出場しただけ。ベンチ入りも果たせない試合もあって、だから湘南ベルマーレのDF舘幸希にとっては、9月26日のJ1第30節川崎フロンターレ戦が勝負のゲームになった。
「長い間、先発で出る機会がなかったので、チームも勝ち切れない試合が続いていましたし、僕がチームの雰囲気を変えてやってやろうという思いが強かった」
大岩一貴が出場停止でめぐってきたチャンス。3バックの右に入ったが、緊張もあったという。
「最初は緊張もありましたけど、みんなが声かけをしてくれたのですんなり入れました。初めてではないので、自分のプレーはできたし良かったと思います」
手応えはあった。だが、「前半の戦いと後半の戦いがガラッと変わってしまった」とハーフタイムを境に様相は一変する。
「相手の立ち位置と選手が代わってきたというのはありましたけど、自分たちが前へ行く力だったり、前に出てプレスを掛けることがなかなかできませんでした。押し込まれる展開が続いたので、そうなれば川崎さんの強みを出してしまったと反省しています」
舘の対面にはマルシーニョが入ってきた。スピード自慢のドリブラーだ。決定的な仕事こそさせなかったが、山口智監督は「後半のワンプレー目が悪くて、後ろが重くなった試合でした」として、後半キックオフからマルシーニョが一気にドリブルでゴール前まで迫ったシーンをポイントに挙げていた。
66分には旗手怜央に、90+4分には知念慶に決められて、ついに逆転負けを喫する。
「振られて振られて、何度か振られてからサイドで2対1の状況を作られてしまって、ボールホルダーに圧力をかけられなくなってしまいました。ああいうゴール前のところでは知念選手や旗手選手の動きはうまいなと感じますし、合わせる技術力もありますから、細かいところを突き詰めないと川崎には勝てないと思わされました」
そのためには、後半の反省に基づく解決策が重要になってくる。
「後半も自分たちがボールを受けて、もっともっと前へ前へというところを共有しなければいけないなと感じました」
前半は特に、最終ラインが川崎Fの攻撃を止めたあとに2トップの町野修斗と大橋祐紀が前線で動いてロングボールを引き出し、そこに何度も送り込んで一気のカウンターでリズムをつかんでいった。「前へ」はこのチームのアイデンティティ。そんな原点回帰を90分通して貫けるかが、改めてカギを握りそうだ。
取材◎平澤大輔 写真◎小山真司