上写真=中村拓海は名古屋戦で久々の出場。スクランブル出場だったが、そつなくプレーした(写真◎J.LEAGUE)
「守備で無理が効くようになった」
9月22日のJ1第32節名古屋グランパス戦で、中村拓海がスクランブル出場となった。33分に小川諒也が負傷でピッチを離れることになり、出番が回ってきた。8月21日の第25節ガンバ大阪戦でフル出場して以来の公式戦だ。
「急だったのでアップもしていなくて、どうなるかと思ったんですけど、普通に入れてよかったと思います」
「ボールに強くいくところはいけていたと思いますが、攻撃はあまりボール触っていないので、触る回数を増やさないといけないと思います」
攻撃参加が最大の持ち味だが、まず守備から入っていたことがわかる。試合に出られない間、守備から攻撃へ、の意識を自分に植え付けてきたからだ。
「守備で無理が効くようになったというか、対人のところでもあまりやられなくなったから、自信を持って攻撃につなげられている部分はありました」
そこには先輩たちのアドバイスがある。
「森重(真人)さんとか林(彰洋)さんには去年からいろいろとアドバイスをもらって、こういうときはこうしたほうがいい、とか、一人で守れるためにはこうすればいい、とかいろいろ教えてくれるので、自分の中で整理できてきました。あまり考えずに体が勝手に動くようになってきたんです」
そして、長友佑都が帰ってきた。東福岡高校の大先輩という縁がある。その影響も大きい。
「世界の第一線で活躍された方なので、練習の姿を見ていると、あれだけやらないとそこまでできないと実感したので、自分もそれに追いつけるようにというか、同じレベルに行けるように見習っていきたいと思いました」
世界基準の体感である。いまここで成長しない手はない。ただ、長友が左サイドバックに入ったことで小川を左サイドバックから右に回すのが長谷川健太監督の選択だった。右サイドバックを主戦場とする中村拓にとってみれば、悔しさが募る。
試合に出られない間は、同じ境遇のメンバーと高めあってきた。
「メンバー外の人も試合に出たいという闘争心はあるので、練習で厳しく当たりにいきますし、特に話をするわけではないけれど、そういうところはみんなに伝わっています」
同じ右サイドバックを争う中村帆高やコンバートされた内田宅哉、小川が負傷で離脱した。夏に加入した鈴木準弥らと争う構図になるが、FC東京の右サイドバックと言えば中村拓海、という格をつかみ取る絶好のチャンス。成長した守備と伸びやかなサイドアタックでつかみ取りたい。