杉本健勇が登場からわずか3分で結果を残してみせた。9月18日の明治安田生命J1リーグ第29節で、横浜F・マリノスは名古屋グランパスに2点を先行された69分に杉本と天野純を同時投入、この2人で追撃のゴールを決めた。仲間のミスを帳消しにしようと意気込んだ一発だった。

上写真=72分、天野純(14)の右CKを杉本健勇がヘッドで突き刺したきれいなゴールを2人で喜びあった(写真◎J.LEAGUE)

■2021年9月18日 明治安田生命J1リーグ第29節(@豊田ス/観衆9,953人)
名古屋 2-1 横浜FM
得点者:(名)中谷進之介、シュヴィルツォク
    (横)杉本健勇

「純くんはいつもいいボールを蹴ってくれる」

 技術と信頼が生んだ、きれいなゴールだった。打ち合わせはなし。だからなおさら、プロフェッショナルらしい得点だと言えるのではないだろうか。

 9月18日、首位の川崎フロンターレにぴたりと追走する横浜F・マリノスが臨んだのは、アウェーの名古屋グランパス戦。堅守自慢の相手に2点を先行される苦しい展開を一変させようと、ケヴィン・マスカット監督が69分に同時に送り込んだのが、MF天野純とFW杉本健勇である。

 その天野が右サイドを抜け出し、厳しく追いかけてきた吉田豊に当てて得た右CKだった。天野が得意の左足から鋭くインスイングのキックを繰り出してニアに送ると、中央から走り込んでDFの前に入った杉本が両足ジャンプ、頭一つ抜け出してヘッドでニアサイドを破る逆襲の一撃を突き刺した。ピッチに入ってからたった3分で結果を出してみせた。

「特に話をしていたというわけではない」のだが、「純くんはいつもいいボールを蹴ってくれるので、思い切って飛び込もうと思った」という、いわば即興の追撃弾だった。杉本は「素晴らしいボールでした」ととにかくキッカーを称えた。

 もちろん、相手のマークがゆるんだ一瞬で中央からニアに走った杉本のランニングの技術も称えられるべきで、それぞれの特徴がぴたりとかみ合った一発だった。

 杉本は「1.5列目でボールを引き出してほしい」とマスカット監督に言われてピッチへ飛び出した。最前線のレオ・セアラが深さを取ったその手前に空いたスペースで何度も受けると、必要以上に時間をかけずに前向きの選手に預けたりサイドに展開したりとリズムを作った。もちろん自らもフィニッシャーになり、90+6分には左でティーラトンのスルーパスで天野がニアゾーンを取ったところで、ゴール方向に戻るマーカーと逆の動きでステップバック、自分の前にスペースを作ると、それを感じた天野がマイナスへ。ここでも最高のコンビネーションを見せ、杉本はダイレクトで左足で狙ったが、シュートはDFにブロックされてしまった。

 結局、試合はこのまま1-2で負け。

「今日は自分たちのミスから失点した場面があるけれど、それを全員でカバーしなければいけない。一人ひとりがみんなのために走れる、頑張れるチームなので、ミスを取り返したかったんですけど、すぐに来週試合があるので、必ず勝てるように一つになってそこに向かっていきたい」

 後半開始早々に岩田智輝が相手のプレスでボールをロストして失点に直結した。これで0-2となって結果的に名古屋の決勝ゴールになったのだが、そのミスを帳消しにしようと決めたのが杉本の一発。夏に加わってから2つ目のゴールは、このチームの団結力を示したものでもあっただろう。

写真◎J.LEAGUE


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