上写真=松本泰志はC大阪から復帰後初スタメン。地元・埼玉での試合で持ち味を出した(写真◎J.LEAGUE)
■2021年8月25日 明治安田生命J1リーグ第26節(@浦和駒場/観衆4,425人)
浦和 1-0 広島
得点者:(浦)キャスパー・ユンカー
「自分も含めて一人ひとりがもっといろんなアクションを」
埼玉県東松山市出身で、熊谷市のクマガヤSCから昌平高校、そしてサンフレッチェ広島へ。だから、松本泰志にとって浦和駒場スタジアムはいわば「地元」だ。
8月25日のJ1第26節。浦和レッズのリーグ戦がこの駒場で開催されるのは、14日のサガン鳥栖戦とこの試合が2009年6月以来と久々で、そのタイミングで、松本が期限付き移籍先のセレッソ大阪から広島へ戻ってきて初めて先発で起用されたのも、何かの縁かもしれない。
今季最長となる80分間、プレーしたものの、結果は0-1。僅差ではあったが、城福浩監督も「不本意」と表現したように、ミスからリズムを手放すシーンが多くなった。松本はその反省の矢印を、自分に向けた。
「最初の5分くらいで自分が頭を使って、ポジショニングを考えるべきでした」
浦和は3バックをベースにしつつ、広島の攻撃に合わせて横幅を4枚で守ったり5枚で守ったりと変幻自在だった。「ウイングに入ったときもしっかりとサイドバックが戻ってきていました。相手はしっかりとハードワークしてカウンターを狙ってくる形だったので、難しい部分はありました」と悩ましかった。
攻撃でも同様で、キャスパー・ユンカーと明本考浩が最前線でかき回しつつ、神出鬼没の江坂任、ドリブラーの関根貴大が2列目から絡んできて、そこにボールを配るボランチの伊藤敦樹の感覚が優れていた。
「こちらが高い位置を取ってからはスムーズにボールが動いてリズムも出てきたので、もっと早く気づけたら良かった」
ボランチとして起用されたからには、相手の狙いを読んでつぶし、あるいは穴を探して突いていくべきだった、ということだ。後半は特にドウグラス・ヴィエイラと柏好文が入った54分からは時間を作ることができて、じわじわと相手陣内に押し入っていった。だが、どうしてもゴールが割れなかった。
「もっと頭を使って動いて崩せるようにならないと難しいなと思いました。自分も含めて一人ひとりがもっといろんなアクションをしていければ」
東京オリンピックを目指すチームに選ばれてきたコンダクター。世界大会のメンバー入りは逃したものの、広範囲にパスを配る視野と技術はこの試合でも披露した。道はまだまだ先に続いている。地元凱旋をその新たなスタートにしたい。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE