連戦の続く川崎フロンターレは8月18日、天皇杯ラウンド16では清水エスパルスに2-1で勝利。ベスト8に進出して連覇へまた一歩近づいた。先制して、追いつかれたものの振り切って、という展開にも、鬼木達監督は自身の采配に疑問を呈した。もっとアグレッシブに、そしてもっと深く、と。

上写真=鬼木達監督は天皇杯でまずはベスト8に導き、連覇へ一歩前進だ(写真◎J.LEAGUE)

フレッシュさと心意気のミックス

「自己不満足」が、鬼木達監督自身を襲った。

 57分に小林悠が先制PKを決めながら、64分に追いつかれたが、交代で入ったレアンドロ・ダミアンが74分に決勝ゴール。2回戦、3回戦ではPK戦までもつれ込んだこの大会で、ようやく90分で勝利を収めた。しかし試合直後には、3人の交代策について「タイミングとしてはどうなのか」と自らに疑問を投げかけるように振り返っていた。勝ったのに、なぜ?

「3人を入れること自体は悪くないと思っています。ただ、1-0から1-1に追いつかれています。追いつかせないで2-0に持っていく仕事を、選手も自分もアグレッシブにやらなければならなかったと思うんです。結果として最後は追い越すことはできましたけど、人が入ればエンジンはかかるもので、メンバー交代なしでももう1点取る姿勢を出さなければいけなかったなと。もしくは1-0で勝っていてもメンバーを代えることが選択肢としてあっても良かったかなと思います。もちろん、出場機会の多くはない選手を長く出してあげたい思いもあって」

 重要なのは、1-0の状況で選手を入れ替えて突き放す決断をしなかった、という自己批判にある。試合展開としても「チャンスは作れていたので、それをもっとビッグチャンスに、決定的な形に持っていきたいかなと思います。(J1第24節の)柏戦でもそうですが、キーパーが当たっているように見えても、少しシュートのコースが甘いかなと思います」と小さな反省を逃さない。1試合3得点というノルマを課す以上、選手も監督自身も遠慮なくそのための選択をすべきだということだ。

 チャンスをビッグチャンスにするキーワードは「もっと深く」。

「崩しをもっと深くしたかったですね、。得点シーンは深く入り込んで生まれたので、そこはどんどん行けるようにチャレンジしていきたい」

 先制点になったPKは、右サイドを崩してゴールライン手前で脇坂泰斗が相手に引っ張られて得たものだった。決勝ゴールはジョアン・シミッチのパスから旗手怜央が左サイド深くに入り込んで送ったセンタリングを、レアンドロ・ダミアンがヘッドでたたきつけで決めている。さまざまな得点パターンを誇る川崎Fの攻撃で、この「深く」はさらに追求されていくだろう。

 ここからもハードな連戦が待ち受ける。サンフレッチェ広島、アビスパ福岡、北海道コンサドーレ札幌と地方でのアウェーゲームだ。特に8月25日に福岡で19時キックオフの試合をこなしたあとに、移動を挟んで札幌では28日14時キックオフで戦う。中2日ならぬ、「中41時間」と厳しい。

「まずはコンディションを大事にします。ただ、その前のゲームでどういう結果でどういうパフォーマンスだったかを見て、次のゲームで『無理をさせる』という表現が合っているのかどうかはわかりませんが、選手のやる気を買うようなことも大事かもしれません。そのミックスというか、フレッシュさが引っ張る部分と、何が何でもこういうときだからこそやってやるんだと意気に感じる選手もいます。結局は気持ちのところになりますが、そこをしっかりと見ながら考えていくのが自分のやり方です。でも、僕が大丈夫かと聞けば、大丈夫じゃありませんと答える選手はいないと思うので、自分ではないところから情報を入れたいと思います」

 すべてを自分たちの力に、とは鬼木監督がいつも言うこと。このタフな連戦もエネルギーに変えていく。


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