2021年7月10日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループHのグループステージ第6節が行なわれ、ガンバ大阪は全北現代と対戦した。勝てば、グループステージ突破が決まる重要な一戦だったが、先制される苦しい展開に。一度は追いついたが、終了間際に突き放されて万事休す。日本勢で唯一、グループステージで大会を去ることになってしまった。

上写真=チャンスを逸してピッチに横たわる宇佐美貴史(写真◎ 2021 Asian Football Confederation)

■2021年7月10日 ACL・H組GS第6節(@ブニョドコル・スタジアム/無観客)
全北現代 2-1 G大阪
得点:(全)グスタボ、バロウ
   (G)パトリック

・全北現代メンバー:GKイ・ボムヨン、DFク・ジャリョン、ホン・ジョンホ、チェ・ボギョン(56分:キム・ミンヒョク)、MFイ・ヨン、チェ・ヨンジュン(69分:イ・スンギ)、ペク・スンホ、パク・ジンソン、邦本宜裕(56分:キム・ボギョン)、FWスタニスラフ・イルチェンコ(69分:マドウ・バロウ)、グスタボ(90+2分:ハン・ギョウォン)

・G大阪メンバー:GK東口順昭、DF三浦弦太、昌子源、キム・ヨングォン、MF小野瀬康介、井手口陽介(46分:倉田秋)、奥野耕平、福田湧矢(31分:黒川圭介)、FW矢島慎也(77分:川崎修平)、パトリック(71分:レアンドロ・ペレイラ)、宇佐美貴史(77分:ウェリントン・シウバ)

痛かった開始6分のPK

 勝つしかないG大阪だったが、いきなり出鼻をくじかれた。ディフェンスの背後に出されたボールをCBキム・ヨングォンが処理したが、後方にボールは流れた。すぐさまGKの東口が反応し、キャッチに向かう。しかし次の瞬間、全北現代の左ウイングバック、パク・ジンソンが猛然と走ってきてキム・ヨングォンと接触した。2人はともにボックス内で転倒したが、主審はPKを宣告。東口が十分、ボールに間に合っていただけにG大阪にとっては悔やまれるプレーとなった。このPKをグスタボに決められ、開始6分でリードを許すことになってしまった。

 追いかける形になったG大阪は、当然ながら攻めに力を割いていった。だが、マンマーク気味で守る相手の前に、なかなかいい形を作れない。中央でのコンビネーションや相手ウイングバックの裏を狙って攻略の糸口を探るものの、決定的な場面を生み出せない時間が続いた。結局、前半はネットを揺らせず、0-1のまま後半を迎える。決勝トーナメント進出するには、2点を取らなければならないG大阪は、井手口に代えて倉田を開始から投入した。それに伴い、矢島がボランチに下がり、倉田は前線に絡むポジションを取って、ゴールをこじ開けにかかった。

 48分には早速、倉田が絡む形で最後はボックス内の矢島のシュートにつなげた。GKの正面を突いたためにゴールにならなかったが、前半には見られなかった崩しだった。49分には縦パスに反応した宇佐美が左からクロスを送り、中央にパトリックが走り込むもシュートは空を切る。51分には宇佐美のクロスにパトリックが頭を合わせるも、ボールはわずかに枠を逸れた。相手を押し込み始めたG大阪は53分、ついにネットを揺らす。右サイドでボールを奪うと、小野瀬が出したボールにパトリックが反応。DFにシュートコースを塞がれたが、ボックス右の角度のないところから右足を振り抜き、豪快にシュートを決めた。

今後は『瀬戸際』を勝っていけるように(三浦)

 ゲームを振り出しに戻したG大阪は、その後も素早いボール回しと揺さぶりで相手ゴールに迫っていった。だが、次の1点が生まれない中で、60分には逆にピンチを迎えることになる。相手のロングボールが流れてきたところを東口が前に出てクリア。ところが蹴ったボールが昌子に当たって自陣ゴール方向へと飛んでしまった。それをグスタボに先に拾われ、絶体絶命。無人のゴールにシュートを打たれたが、ボールは枠の外からサイドネットを直撃。相手のミスに救われた。

 九死に一生を得たG大阪は、76分にスコアを動かしにかかった。宇佐美、矢島に代えてW・シウバと川崎を投入。相手の足が止まり、オープンな展開になった中で、2人のドリブラーをピッチに送った。直後に見せ場を迎えたものの、決定的な場面を演出するまでには至らない。結局、2人の持ち味を生かし切れないまま時間が過ぎ、CBの三浦を前線に上げてパワープレーに出ることになった。

 そして88分。ようやく次の1点が生まれたが、それはG大阪ではなく、全北現代のものだった。パス交換で中央を破られ、バウロに抜け出されて失点。パワープレーに出るしかなかった状況が招いた、決定的な失点だった。

「勝つしかなかったので全員で何が何でも勝ちにいくという試合で、立ち上がりでああいう形で失点してしまったのが、難しい試合にしたと思います。非常に日程的にタフな中で、チーム全員で戦えたことというのは収穫になったかなと思いますが、ただやっぱり突破をかけてやってきた際どい戦いの中で勝ち切れなかった。今後のカップ戦でもリーグ戦でも、瀬戸際(の試合)を勝っていくということは非常に大事なると思うので、こういう試合で勝てるように(この経験を)つなげていきたいと思います」(三浦キャプテン)

 PKは微妙な判定と言えなくもない。ただ後半、流れを手にしながらそこで決め切れなかったことも痛かった。前節は8ゴールを挙げたものの、大会を通じてみれば、点を取り切る力や勝ち切る術が足りなかったのは明白だろう。チェンライ・Uとの2試合に引き分けことがその証左だ。

 この結果、G大阪は今回、ACLに出場している日本勢4チームの中で唯一のグループステージで敗退となった。この悔しい経験は、三浦キャプテンの言う通り、今後に生かすしかないだろう。「瀬戸際を勝っていく」チームに生まれ変わる、契機とするより他ないーー。


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